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育成就労制度運用要領のポイント|育成就労計画・日本語能力・転籍・送出機関などを解説
育成就労制度運用要領のポイント|育成就労計画・日本語能力・転籍・送出機関などを解説
出入国在留管理庁及び厚生労働省は、育成就労制度の具体的な運用について「育成就労制度運用要領」を公表しています。
その中でも「育成就労制度運用要領のポイント」では、育成就労計画の認定基準、技能・日本語能力の評価、育成就労外国人の待遇、受入れ人数枠、外国の送出機関、転籍など、制度運用上重要となる事項が整理されています。
育成就労制度の施行日は、令和9年(2027年)4月1日です。
監理支援機関の許可については令和8年4月15日から、育成就労計画の認定については令和8年9月1日から、それぞれ施行日前申請が開始されています。
育成就労制度とは
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消して創設される新しい外国人受入れ制度です。
制度の目的は、外国人の人材育成と、日本国内の人手不足分野における人材確保です。
育成就労外国人については、原則として3年間の就労を通じて技能及び日本語能力を向上させ、特定技能1号の水準につなげていくことが想定されています。
技能実習制度では「技能等の移転による国際協力」が制度目的とされていましたが、育成就労制度では、人材育成と人材確保が法律上の目的として位置付けられています。
育成就労計画を外国人ごとに作成する
育成就労外国人を受け入れる場合、育成就労実施者は、外国人ごとに育成就労計画を作成し、外国人育成就労機構による認定を受ける必要があります。
育成就労計画では、単に「3年間働いてもらう」という内容ではなく、3年間でどの技能を身に付け、どの程度の日本語能力まで到達するのかを具体的に定めます。
そのため、育成就労制度では、技能の習得状況と日本語能力の向上を計画的に確認する仕組みが設けられています。
育成就労終了時の技能目標
育成就労計画には、育成就労が終了するときに到達すべき技能水準を目標として定める必要があります。
技能に関する目標は、分野別運用方針で定められたもののうち、次のいずれかとなります。
- 修得させる技能に係る3級の技能検定への合格
- 3級技能検定に相当する育成就労評価試験への合格
- 特定技能1号評価試験への合格
どの試験を目標とするかは、育成就労外国人が従事する産業分野・業務区分ごとに定められます。
日本語能力は原則A2相当を目標とする
技能だけでなく、日本語能力についても育成就労計画に目標を設定します。
原則的な終了時の目標は、日本語教育の参照枠のA2相当です。
A2相当とは、基本的な個人情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、自分に直接関係する領域について、よく使われる表現を理解することができる程度の水準とされています。
ただし、必要となる日本語能力は分野によって異なるため、分野別運用方針により、より高い水準が設定される場合があります。
1年以内にも技能・日本語の中間評価を行う
育成就労の評価は、3年目の終了時だけ行うものではありません。
育成就労実施者には、育成就労開始から1年以内に、技能及び日本語能力について一定水準の試験を受験させることが求められています。
これは、3年間の最終目標に向けた中間的な評価として行われるものです。
日本語については、基本的には1年以内にA1相当の能力を身に付け、所定の試験を受験することになります。
そして3年間の育成就労終了までに、最終目標として設定された技能試験及び日本語能力試験を受験させる必要があります。
就労開始前の日本語要件
育成就労制度では、入国そのものについて一律に日本語試験への合格を求めているわけではありません。
一方、実際に就労を開始するまでには、原則として次のいずれかが必要です。
- A1相当以上の日本語能力試験に合格していること
- 又は、A1相当の日本語講習を100時間以上受講すること
A1相当の試験に合格していない場合には、認定日本語教育機関の「就労」課程などにおけるA1相当の講習を100時間以上受講する仕組みとなっています。
制度施行後当分の間は、一定の要件を満たす登録日本語教員による講習についても認められる扱いとなっています。
3年間でA2相当講習100時間以上の機会を提供
育成就労実施者には、育成就労期間中の日本語能力向上についても一定の措置が求められます。
具体的には、3年間の育成就労期間中に、認定日本語教育機関等によるA2相当を目標とする日本語講習を100時間以上受講する機会を提供する必要があります。
すでにA2相当の日本語能力試験に合格している外国人については、改めてこの講習を受講させる必要はありません。
また、一定の要件を満たす場合には、オンラインによる日本語講習も認められます。
なお、このA2相当講習の受講時間について、制度上当然に労働時間として取り扱うことまで義務付けられているわけではありません。
育成就労外国人の素行についても確認される
育成就労外国人については、「素行が善良」であることも認定基準の一つとなっています。
確認対象となる犯罪歴は、外国人の母国内だけではありません。母国以外の国・地域における犯罪歴についても対象となります。
単独型育成就労や、外国の送出機関を介さない監理型育成就労では、育成就労計画の認定申請時に素行が善良であることを証明する書類が必要となります。
送出機関の取次ぎを受ける監理型育成就労では、あらかじめ送出機関が関係書類により確認する仕組みとなっています。
育成就労で行う業務
育成就労では、人材育成の対象となる「主たる技能」を定めます。
主たる技能を修得するために必要となる「必須業務」について、原則として全体の就労時間の3分の1以上従事することが求められています。
また、同じ業務区分の範囲内であれば、必須業務に関連する業務にも従事することができます。
一方、「夏は農業、冬は漁業」のように、異なる育成就労産業分野をまたいで就労することは、人材育成の一貫性の観点から認められていません。
健康状況・生活状況を把握する体制
育成就労実施者には、外国人が安定して日本で就労・生活できるよう、健康状況や生活状況を把握するための措置が求められます。
健康状況を把握するための措置としては、例えば次のようなものがあります。
- 雇入れ時の健康診断
- 雇用期間中の定期健康診断
- 健康上の問題がないかについての定期的な聞き取り
生活状況については、緊急連絡網を整備したり、定期的な面談で日常生活上の困りごとやトラブルの有無を確認したりすることなどが想定されています。
入国後講習はオンラインも可能
入国後講習を行う場合には、講習を行うための施設を確保する必要があります。
一方、すべての講習を必ず対面で行わなければならないわけではありません。
講師と育成就労外国人が同時に双方向で意思疎通でき、音声及び映像を利用する方式など、一定の条件を満たせばオンラインによる入国後講習も認められています。
非自発的離職者を発生させた場合の取扱い
育成就労制度は、人手不足を理由として既存の労働者を解雇し、その代替として外国人を受け入れる制度ではありません。
このため、育成就労実施者等が、育成就労外国人に従事させる業務と同種の業務に従事していた労働者を一定期間内に非自発的に離職させている場合には、認定基準との関係で問題となります。
ただし、定年退職、自発的な退職など一定の場合は、ここでいう非自発的離職者から除かれます。
一方、賃金不払い、過度な時間外労働、採用時に示された条件との相違、嫌がらせ、人員整理を目的とした退職勧奨などを理由とする離職については、非自発的離職として扱われる場合があります。
外国人であることを理由とする差別的待遇は禁止
育成就労外国人であることのみを理由として、待遇に差を設けることは認められていません。
対象には、報酬だけでなく次のようなものも含まれます。
- 教育訓練
- 社員住宅等の福利厚生施設
- 診療施設
- 保養施設
- その他の待遇
例えば、外国人であることだけを理由に賞与を支給しない取扱いは、差別的取扱いに当たり得るとされています。
転籍制限期間が1年を超える場合の待遇向上
育成就労制度では、一定の条件を満たした外国人について、本人の希望による転籍が認められる仕組みが導入されます。
本人意向による転籍については、分野ごとに1年以上2年以下の範囲で転籍制限期間が設定されます。
分野別運用方針で1年を超える転籍制限期間を定める場合には、外国人の待遇向上のための措置についても定められます。
なお、分野別運用方針で1年を超える期間が設定されている場合であっても、育成就労実施者自身の判断によって転籍制限期間を1年とすることも可能です。
一時帰国を希望する場合の休暇
育成就労外国人が一時帰国を希望する場合の休暇についても、運用要領で取り扱いが示されています。
育成就労外国人がすでに労働基準法上の年次有給休暇をすべて取得している場合であっても、一時帰国を希望する申出があったときには、育成就労実施者は、追加的な有給休暇を取得できるよう配慮することとされています。
また、外国人から一時帰国の申出があった場合には、必要となる有給又は無給の休暇を取得させることを雇用契約に定めることとされています。
育成就労外国人には受入れ人数枠がある
育成就労制度では、育成就労実施者の常勤職員数等に応じて、受け入れることのできる育成就労外国人の人数に上限が設けられます。
技能実習制度のように1号・2号・3号という区分を設けず、原則3年間の育成就労外国人全体で人数枠を計算します。
制度移行期間中に引き続き在留する1号及び2号技能実習生については、育成就労の人数枠を計算する際、育成就労外国人の人数として計算されます。
一方、3号技能実習生については、育成就労制度の人数としては計算されない扱いとなっています。
人数枠に含まれない場合
次のような育成就労外国人については、一定の場合、通常の受入れ人数枠に含まれません。
- やむを得ない事情により転籍した者
- 育成就労期間が延長された者
- 妊娠・出産などにより育成就労を中断し、その後再開した者など、外国人保護の観点から特別な理由がある者
地方特別枠
育成就労制度には、一定の指定区域について「地方特別枠」が設けられています。
地方特別枠の適用に際して育成就労実施者の所在地を確認する場合、法人では登記簿上の本店所在地、個人では住民票上の住所によって判断されます。
優良な育成就労実施者
育成就労制度では、適切な受入れを行っている育成就労実施者を「優良な育成就労実施者」として取り扱う仕組みがあります。
優良と認められた場合には、受入れ人数枠の拡大などが予定されています。
評価に当たっては、技能・日本語能力の修得実績、受入れ体制、外国人の待遇、法令違反や行方不明者の発生状況、相談・保護・支援体制、地域社会との共生に向けた取組などが考慮されます。
なお、具体的な優良認定基準については、令和8年9月時点の出入国在留管理庁の案内では、決まり次第示すこととされています。
外国の送出機関と二国間取決め(MOC)
監理型育成就労で外国の送出機関から取次ぎを受ける場合には、原則として、日本政府と送出国政府との間で二国間取決め(MOC)が作成されている国から受け入れる仕組みとなります。
MOCを作成した国については、送出国政府が送出機関の要件を満たしているかを確認し、認定された送出機関が「外国政府認定送出機関」として掲載されます。
悪質な送出機関の排除や、外国人本人から不当に高額な費用が徴収されることを防止することが、この仕組みの目的の一つです。
外国人が送出機関に支払う費用にも上限
育成就労制度では、送出機関が育成就労外国人本人から徴収できる費用について上限が設けられています。
上限は、育成就労計画に記載された所定内賃金の月額の2か月分です。
この上限を超える費用を育成就労外国人本人に負担させることはできません。
上限を超える費用が必要な場合には、育成就労実施者又は監理支援機関が負担することとなります。
また、費用の名称だけで判断するものではありません。
送出しの過程で外国人本人が送出機関に支払った費用は、その費目を問わず対象となります。
さらに、送出機関からの委託や連携によって行われる教育機関での職業訓練・研修・講習費用や、仲介人による人材募集に関連して外国人が支払った費用についても規制対象となります。
育成就労外国人は転籍を希望することができる
育成就労制度の大きな特徴の一つが、一定の条件の下で本人意向による転籍を認める仕組みです。
育成就労外国人が転籍を希望する場合、次のいずれかにその旨を申し出ることができます。
- 現在の育成就労実施者
- 監理支援機関
- 外国人育成就労機構
申出を受けた育成就労実施者や監理支援機関は、申出内容や事実関係を確認し、機構への届出や、育成就労を継続できるようにするための連絡調整などを行います。
転籍先でも新しい育成就労計画の認定が必要
外国人本人が転籍を希望しただけで、直ちに転籍できるわけではありません。
転籍先となる育成就労実施者が、新たな育成就労計画を作成して外国人育成就労機構へ申請し、認定を受ける必要があります。
また、転籍後も原則として同じ業務区分で育成就労を継続する必要があります。
転籍先で働くことができる期間については、原則3年間から、それまで同一業務区分で行った育成就労期間を差し引いた残りの期間となります。
「やむを得ない事情」による転籍
育成就労制度では、本人意向による転籍とは別に、やむを得ない事情による転籍も認められます。
例えば、暴力、ハラスメント、重大な労働条件上の問題など、現在の育成就労実施者の下で育成就労を継続することが困難となる事情がある場合が考えられます。
やむを得ない事情が認められる場合には、通常の本人意向転籍に求められる転籍制限期間などの一部要件を満たさなくても転籍が認められる仕組みとなっています。
この場合、育成就労実施者又は監理支援機関には、実施困難時の届出を行い、外国人が円滑に転籍できるよう支援することが求められます。
本人意向による転籍の主な条件
本人の希望だけを理由とする転籍については、一定の要件があります。
主な要件として、次のようなものが定められています。
- 分野別運用方針で定められた転籍制限期間を超えていること
- 一定水準の技能試験に合格していること
- 一定水準の日本語能力試験に合格していること
- 同一の業務区分で転籍すること
- 転籍先が所定の受入れ基準を満たしていること
本人意向転籍を受け入れる企業にも要件がある
本人意向による転籍を希望する外国人を受け入れる企業についても、通常の受入れ要件に加え、一定の条件が設けられます。
運用要領のポイントでは、主に次のような基準が示されています。
- 認定時点で、現在受け入れている育成就労外国人が転籍者等だけで構成されていないこと
- 本人意向による転籍者の合計が、転籍後の育成就労外国人全体の3分の1以内であること
- 大都市圏の実施者が地方圏から受け入れる本人意向転籍者については、一定の割合制限があること
- 優良な育成就労実施者であること
- 一定の場合、民間の職業紹介事業者等を介したマッチングではないこと
- 転籍元が外国人の受入れに際して負担した初期費用の一部を補填する仕組みを設けること
本人意向転籍者は原則3分の1以内
転籍先の企業については、本人意向による転籍者が受入れ外国人の大部分を占めることを防ぐため、人数割合についても基準があります。
本人意向転籍者の合計は、転籍後に当該育成就労実施者の下で働く育成就労外国人全体の3分の1以内とされています。
また、指定区域外、いわゆる大都市圏に所在する育成就労実施者が、指定区域内、いわゆる地方圏から本人意向転籍者を受け入れる場合については、その割合を原則として全体の6分の1以内とする基準も設けられています。
過去に育成就労を行った外国人を再度受け入れる場合
過去に育成就労外国人であった者について、再び育成就労を行わせる場合にも新たな育成就労計画の認定が必要となる場合があります。
運用要領のポイントでは、例えば次のケースが示されています。
- 育成就労計画が取り消された後も、同一業務区分で育成就労の継続を希望する場合
- いったん「育成就労」の在留資格でなくなった後、再び同一業務区分で育成就労を行う場合
- 国外にいる外国人が、従前と同じ業務区分で残りの期間を別の育成就労実施者の下で行う場合
- 一定の条件の下、過去とは異なる業務区分で新たに3年間の育成就労を行う場合
育成就労から特定技能1号への移行
育成就労制度は、原則3年間の人材育成を経て、特定技能1号への移行につなげる制度設計となっています。
現行の技能実習制度では、技能実習2号を良好に修了した場合、一定の条件の下で特定技能1号への移行時に技能試験・日本語試験が免除されています。
これに対し育成就労制度では、特定技能1号への移行に際し、原則として所定の技能試験と日本語能力A2相当以上の試験に合格することが必要となります。
3年終了時に試験に不合格だった場合
育成就労は原則として3年間ですが、3年間を経過した時点で特定技能1号への移行に必要な技能試験又は日本語能力試験に不合格となった場合について、一定の条件の下で最長1年の範囲内で在留継続を認める方針が示されています。
したがって、必ず3年ちょうどで在留を終了しなければならないという制度ではありません。
制度開始は令和9年4月1日
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年4月15日 | 監理支援機関の許可に係る施行日前申請開始 |
| 令和8年9月1日 | 育成就労計画認定に係る施行日前申請開始 |
| 令和9年4月1日 | 育成就労制度施行・実際の育成就労外国人の受入れ開始 |
まとめ
「育成就労制度運用要領のポイント」からは、育成就労制度が単に外国人を雇用するための制度ではなく、3年間を通じて技能と日本語能力を計画的に育成する制度として設計されていることが分かります。
主なポイントを整理すると、次のとおりです。
- 育成就労は原則3年間
- 外国人ごとに育成就労計画の認定が必要
- 技能と日本語能力の到達目標を計画に設定する
- 日本語の最終目標は原則A2相当
- 1年以内にも技能・日本語能力の中間評価を行う
- 就労開始前にはA1相当試験合格又は100時間以上の講習が必要
- 3年間でA2相当講習100時間以上の受講機会を提供する
- 外国人であることを理由とする差別的待遇は禁止される
- 一時帰国時の休暇について一定の配慮が求められる
- 受入れ人数には上限がある
- 送出機関は原則としてMOCに基づく認定機関を利用する
- 外国人本人が送出機関に支払う費用には上限がある
- 一定の条件を満たせば本人の希望による転籍が可能
- やむを得ない事情がある場合には別の転籍制度がある
- 転籍先についても新たな育成就労計画の認定が必要
- 特定技能1号への移行には原則として技能・日本語試験への合格が必要
育成就労制度については、産業分野ごとの分野別運用方針や運用要領別冊などにより、さらに個別の要件が定められます。
そのため、制度全体の共通ルールだけでなく、実際に外国人が従事する分野・業務区分ごとの基準を確認することが重要です。
参考資料
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領のポイント」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度 運用要領」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」
※本ページは、出入国在留管理庁及び厚生労働省が公表している資料をもとに、育成就労制度について一般的な情報を整理したものです。制度の詳細は、今後の告示、分野別運用方針、運用要領の改正等により変更される場合があります。
