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2026-09-15 17:00:00

育成就労制度運用要領(令和8年8月版)|受入企業・監理支援機関の実務ポイント

2027年4月1日施行 令和8年8月版 育成就労制度

育成就労制度運用要領(令和8年8月版)が公表
2027年4月施行に向けた実務ポイントを詳しく解説

出入国在留管理庁・厚生労働省が公表している 「育成就労制度 運用要領」の令和8年8月版について、 受入れ企業・事業協同組合・監理支援機関等が確認しておきたい内容を整理します。

育成就労制度は、現在の技能実習制度を抜本的に見直し、 人手不足分野における人材育成と人材確保を目的として創設された制度です。

原則3年間の就労を通じて、 特定技能1号で求められる水準の技能を有する人材を育成する という点が制度の大きな特徴です。

【令和8年8月版について】
育成就労制度運用要領は、令和8年2月20日に公表された後、 令和8年4月6日、同年8月3日に一部改正されています。

今回紹介するのは、これらの改正内容を反映した 令和8年8月版の全体版です。

育成就労制度は2027年4月1日から始まります

育成就労制度に関する改正法は2024年6月21日に公布され、 2027年4月1日から育成就労外国人の受入れが開始されます。

これまでの技能実習制度は、技能移転による国際貢献を目的とする制度でした。

これに対して育成就労制度は、 日本国内の人手不足分野について、 外国人を育成しながら人材を確保することを制度目的として明確に位置付けています。

育成就労制度の基本的な考え方
  • 育成就労産業分野における人材育成
  • 深刻な人手不足に対応するための人材確保
  • 原則3年間の就労による技能育成
  • 特定技能1号水準への到達を目指す
  • 育成就労外国人の人権・権利を適切に保護する
  • 特定技能制度との連続性を持たせる

育成就労期間は原則3年間

育成就労制度では、 原則として3年間の育成就労を行います。

育成就労実施者は、受け入れる外国人ごとに育成就労計画を作成し、 外国人育成就労機構から認定を受ける必要があります。

運用要領では、3年を下回る育成就労計画については、 適正な人材育成を行えるものと認められず、 認定を受けられない可能性があることも示されています。

ポイント
「3年間働いてもらう」というだけではなく、 3年間で特定技能1号水準の技能を身に付けてもらうことを前提として、 育成内容・業務内容・技能評価・日本語学習等を計画する必要があります。

育成就労の対象は17分野

令和8年8月版の運用要領では、 育成就労産業分野として次の17分野が示されています。

1.介護
2.ビルクリーニング
3.リネンサプライ
4.工業製品製造業
5.建設
6.造船・舶用工業
7.自動車整備
8.宿泊
9.鉄道
10.物流倉庫
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業
15.林業
16.木材産業
17.資源循環

分野によって複数の業務区分が設定されています。

例えば工業製品製造業には機械金属加工、電気電子機器組立て、 金属表面処理、縫製、家具製造など複数の業務区分があります。

建設分野についても、土木、建築、ライフライン・設備などに区分されています。

育成就労を行わせる場合には、 単に上記の分野に属していればよいわけではなく、 実際に行わせる業務が該当する業務区分に含まれているか を確認する必要があります。

単純作業だけでは育成就労として認められません

育成就労制度は、人材育成を目的とした制度です。

そのため、育成する技能については、 同一の作業の反復だけで修得できるものではないこと が求められます。

また、技能修得の中心となる「必須業務」については、 業務に従事する時間全体の 3分の1以上 を確保する必要があります。

安全衛生に関する業務についても、 一定の割合を確保することが求められています。

技能実習制度からの変更点
技能実習制度で使われていた 「関連業務」「周辺業務」という区分は育成就労制度ではなくなります。

育成就労では、業務区分の中で修得を目標とする主たる技能を定め、 その技能を計画的に身に付けることが重視されます。

育成就労計画の認定が必要

育成就労を行わせる企業等は、 外国人ごとに育成就労計画を作成し、 外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。

監理型育成就労の場合には、 監理支援機関の指導を受けながら育成就労計画を作成します。

業務内容
どの分野・業務区分で、どのような技能を身に付けるのかを明確にします。
育成期間
原則3年間の育成スケジュールを設定します。
技能の目標
特定技能1号水準を念頭に技能評価の目標を設定します。
日本語能力
日本語能力の目標と必要な日本語教育を計画します。
指導体制
育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員等を配置します。
待遇
報酬、労働時間、宿泊施設、外国人が負担する費用等も計画に記載します。

技能と日本語能力を途中・終了時に確認

育成就労制度では、 外国人を受け入れて働いてもらうだけではなく、 実際に技能が身に付いているかを評価する仕組みが設けられています。

育成就労開始後1年が経過する時点や、 育成就労終了時などに、 定められた技能試験等を受験し、 育成の効果を確認します。

最終的には、 特定技能1号への移行につながる技能水準 への到達を目指します。

日本語教育が制度上重要になります

育成就労制度では、 技能だけでなく日本語能力の育成も重要な制度要件となっています。

就労開始前には、原則として 「日本語教育の参照枠」の A1相当 の日本語能力を身に付けることが前提とされています。

A1相当の試験に合格していない場合

育成就労計画認定申請時にA1相当の日本語試験に合格していない場合、 入国後講習は原則として 合計320時間以上 必要となります。

このうち日本語について、 A1相当を目標とする認定日本語教育機関の 「就労のための課程」による講習を 100時間以上 受講することが基本となります。

A1相当の試験に合格している場合

認定申請時にA1相当の日本語能力が確認できる場合、 入国後講習は原則として 合計220時間以上 となります。

なお、一定の入国前講習を受講している場合には、 入国後講習時間について別の取扱いがあります。

A2相当を目標とする日本語教育

3年間の育成就労期間中には、 日本語能力の目標達成に向けて、 認定日本語教育機関の「就労のための課程」等による 必要な日本語学習の機会を確保することが求められます。

必要なA2目標講習の受講機会を意図的に与えなかった場合には、 育成就労計画に基づく育成就労が行われていないものとして、 認定取消し等の対象となる可能性があります。

入国後講習も重要な制度要件

監理型育成就労では、 原則として実際の就労を開始する前に入国後講習を行います。

講習には日本語だけでなく、 日本での生活一般に関する知識、 法的保護に必要な情報、 技能修得に役立つ知識等が含まれます。

法的保護科目については 8時間以上 とされています。

また、入国後講習期間中に外国人が講習へ専念できるよう、 食費・居住費等に本人負担がある場合には、 それと同等以上の講習手当を支給する必要があります。

本人の希望による「転籍」が制度化されます

技能実習制度との大きな違いの一つが、 育成就労外国人本人の意向による転籍です。

育成就労では、一定の条件を満たした場合、 本人の希望により育成就労実施者を変更することができます。

転籍制限期間は分野ごとに1年以上2年以下

本人意向による転籍については、 各育成就労産業分野ごとに、 1年以上2年以下 の範囲で転籍制限期間が設定されます。

分野別運用方針で2年と設定されている場合でも、 育成就労実施者が育成就労計画上、 自主的に1年と設定することも可能です。

また、本人意向による転籍には、 一定の技能水準や日本語能力等の要件も設定されます。

転籍後にも注意
一度本人意向による転籍をした後、 さらに本人意向で転籍する場合には、 原則として転籍後の育成就労実施者の下でも 所定の転籍制限期間を経過する必要があります。

外国人の待遇についても細かい基準があります

育成就労制度では、 外国人の待遇について詳細な基準が設けられています。

  • 外国人であることを理由とした差別的な待遇をしないこと
  • 適切な宿泊施設を確保すること
  • 外国人が負担する食費・居住費等について十分に説明すること
  • 本人が費用内容を理解した上で合意していること
  • 徴収する費用が実費相当など適正な額であること
  • 監理支援費を外国人本人に直接・間接に負担させないこと
  • 技能の修得状況に応じた待遇向上を図ること

宿泊施設は原則1人4.5㎡以上

宿泊施設については、 育成就労外国人が健康で快適に生活できるようにする観点から、 寝室について原則として 1人当たり4.5㎡以上 のスペースを確保する必要があります。

食費・居住費・水道光熱費は自由に徴収できない

食費、居住費、水道光熱費等を外国人に負担させる場合、 本人が内容を理解して合意しているだけでなく、 金額も合理的なものでなければなりません。

借上げ住宅の場合には、 家賃、管理費、共益費等の実際に定期的に発生する費用を、 入居人数等に応じて合理的に按分することが基本となります。

監理支援費を育成就労外国人へ負担させることは禁止

監理支援機関が育成就労実施者から徴収する 監理支援費については、 育成就労外国人本人へ直接又は間接に負担させてはいけません。

監理支援費には、 職業紹介費、講習費、監査指導費、その他諸経費などがあります。

これらは、用途と金額をあらかじめ明示した上で、 監理型育成就労実施者等から実費の範囲で徴収する仕組みとなります。

育成就労外国人の受入れ人数にも上限があります

育成就労制度では、 企業の常勤職員数等を基準とした 受入れ人数枠が設けられています。

通常の監理型育成就労では、 例えば常勤職員数が1人の場合は3人、 2人の場合は6人、 3人以上30人以下の場合は9人など、 常勤職員数に応じて基本人数枠が設定されています。

また、育成就労実施者が優良である場合などには、 通常より大きな人数枠が適用される場合があります。

山形県は「地方特別枠」の指定区域に含まれます

育成就労制度では、 育成就労外国人が地方から大都市圏へ過度に集中することを防ぎ、 地方における人材確保を促進する仕組みも設けられています。

一定の条件を満たす優良な育成就労実施者等については、 地方特別枠として通常より大きな受入れ人数枠が認められる場合があります。

山形県は指定区域です。

運用要領では、山形県全域が地方特別枠に関する「指定区域」に含まれています。

監理型育成就労の場合、 育成就労実施者と監理支援機関の双方が優良であることなど、 所定の要件を満たすことで、 通常より大きな受入れ人数枠が適用される可能性があります。

技能実習の監理団体は自動的に監理支援機関にはなりません

現在、技能実習制度で監理団体の許可を受けている事業協同組合等であっても、 育成就労制度において監理支援事業を行うためには、 新たに監理支援機関の許可 を受ける必要があります。

現在の監理団体許可が、そのまま監理支援機関の許可へ移行するわけではありません。

監理支援機関には厳格な許可基準があります

監理支援機関については、 法人形態だけでなく、 人的体制、財産的基礎、個人情報管理、 相談体制、監査体制など幅広い許可基準があります。

法人形態
監理支援事業を行うことができる法人である必要があります。
人的体制
監理支援責任者など必要な役職員を配置します。
相談体制
育成就労外国人からの相談に対応できる体制が必要です。
財産的基礎
継続して監理支援事業を行える財産的基礎が求められます。
個人情報管理
外国人・受入れ企業の個人情報を適正に管理する必要があります。
外部監査
監理支援事業を外部から確認する外部監査体制が必要です。

監理支援機関は3か月に1回以上の定期監査を実施

通常の監理型育成就労では、 監理支援機関が育成就労実施者に対し、 3か月に1回以上の定期監査を行います。

また、法令違反や人権侵害等が疑われる場合には、 通常の定期監査とは別に 臨時監査を行う必要があります。

育成就労外国人に対する暴行・脅迫などの人権侵害行為が疑われる場合には、 迅速に臨時監査を行い、 外国人育成就労機構へ報告することが求められます。

就労開始後1年以下の外国人には毎月の訪問指導

育成就労の対象となっている期間が合計1年以下の育成就労外国人については、 監理支援機関は原則として 1か月に1回以上 受入れ企業を訪問し、 育成就労計画どおりに育成就労が行われているかを確認・指導します。

この訪問指導は、 定期監査とは別の制度です。

オンラインだけでは不可
資料を事前に電子的に確認するなどの効率化は可能ですが、 訪問指導そのものをオンラインだけで実施することは認められていません。

育成就労制度では「外部監査人」が重要になります

監理支援機関には、 監理支援事業が適正に行われているかを法人外部から確認する 外部監査人の仕組みが設けられています。

外部監査人は、 監理支援機関や受入れ企業との関係から独立性が確保され、 監査を公正・適正に遂行できる資格や能力を有している必要があります。

行政書士も外部監査人になり得ます

運用要領では、 外部監査人について、 弁護士、社会保険労務士、行政書士その他育成就労の知見を有する者 であることが必要とされています。

資格だけでなく、 所定の養成講習を修了していることや、 監理支援機関・育成就労実施者等との関係について 独立性を満たしていることも必要です。

外部監査人は3か月に1回以上監理支援機関を確認

外部監査人は、 監理支援機関が監理支援事業を行う 各事業所について3か月に1回以上、 監査等の業務の遂行状況を確認します。

確認した結果について書類を作成し、 監理支援機関へ提出します。

年1回以上、受入れ企業への監査にも同行

外部監査人は、 監理支援機関が育成就労実施者へ行う監査について、 監理支援機関の各事業所につき1年に1回以上 同行し、その監査が適正に行われているか確認します。

ここでいう「年1回以上」は、 傘下のすべての受入れ企業へ毎年同行するという意味ではありません。

監理支援機関の各事業所につき、 監理支援機関が行う育成就労実施者への監査へ 年1回以上同行するという仕組みです。

同行監査の間隔にも注意
例えば初回の同行監査を5月10日に実施した場合、 次回の同行監査は翌年5月10日までに行う必要があります。

外部監査人には3年ごとの養成講習が必要

外部監査人、監理支援責任者、 育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談員等については、 所定の養成講習制度があります。

選任後も、 原則として講習修了日から 3年以内 に再度所定の養成講習を受講・修了する必要があります。

なお、経過措置として、 育成就労制度施行前に技能実習制度の監理責任者等講習を受講した者について、 一定の範囲で育成就労制度の講習を受講したものとして取り扱う措置も設けられています。

送出機関についても適正性の確認が必要

監理型育成就労で外国の送出機関から求職申込みの取次ぎを受ける場合には、 送出機関が法令上の要件を満たしていることを確認する必要があります。

監理支援機関は、 送出機関との契約において、 育成就労外国人本人やその家族等から 不当な保証金や違約金等を徴収する契約をしていないことを確認する必要があります。

育成就労外国人の行方不明や途中帰国等を理由として、 監理支援機関と送出機関との間で違約金を設定することも認められていません。

令和8年8月改正で追加・明確化された主な事項

令和8年8月の改正では、 制度開始に向けてより具体的な実務上の取扱いが追加・明確化されています。

入国前結核スクリーニング

対象国から育成就労外国人を受け入れる場合、 在留資格認定証明書交付申請時に 「結核非発病証明書」の提出が必要となる取扱いが明記されました。

送出国の国内法令への注意

外国の送出機関を介さない形で外国人を送り出す場合についても、 送出国の国内法令に違反しないか事前に確認する必要があることが明確化されています。

「企業内転勤2号」との区別

従来の企業単独型技能実習のうち、 外国の事業所の職員を1年以内の研修等で受け入れるものについては、 2027年4月1日以降、 在留資格「企業内転勤2号」により受け入れる制度が設けられます。

3年間で特定技能1号水準を目指す育成就労とは、 制度目的・在留期間が異なります。

業務範囲の整理

技能実習制度の「関連業務」「周辺業務」という概念がなくなることや、 必須業務等の割合について、より具体的な取扱いが整理されています。

技能実習から育成就労への移行では準備が必要

現在技能実習生を受け入れている企業や、 監理団体として技能実習制度に関わっている事業協同組合等は、 単に制度名称を変更するだけではありません。

育成就労制度では、 育成就労計画、日本語教育、本人意向転籍、 受入れ人数枠、育成就労実施者の体制、 監理支援機関の許可、 外部監査人など、 現在の技能実習制度とは異なる制度設計が数多くあります。

特に早めに確認しておきたい事項
  • 自社の業務が育成就労の対象分野・業務区分に該当するか
  • 育成就労責任者・指導員・生活相談員の配置
  • 日本語学習支援体制
  • 宿泊施設・外国人負担費用の見直し
  • 受入れ人数枠
  • 本人意向転籍への対応
  • 監理団体から監理支援機関への移行
  • 外部監査人の確保
  • 外国の送出機関との契約内容
  • 分野別の上乗せ基準

分野ごとの運用要領も確認が必要

今回紹介した「育成就労制度運用要領」は、 制度全体に共通する基本的な運用を定めたものです。

実際には、 分野によって独自の上乗せ基準や審査基準が設定される場合があります。

そのため実際の受入れを検討する場合には、 この全体版だけでなく、 該当する産業分野の「特定の分野に係る育成就労制度運用要領」や分野別運用方針 も併せて確認する必要があります。

まとめ

令和8年8月版の育成就労制度運用要領を見ると、 育成就労制度は現在の技能実習制度から名称だけを変更した制度ではないことが分かります。

原則3年間で特定技能1号水準の人材を育成することを明確な目的とし、 技能評価、日本語教育、外国人の待遇、 本人意向転籍、受入れ人数、 監理支援機関による監査・訪問指導、 外部監査人などについて詳細な制度設計が行われています。

特に技能実習生を現在受け入れている企業や、 監理団体から監理支援機関への移行を予定している事業協同組合等については、 2027年4月1日の制度開始直前になってから準備するのではなく、 運用要領や分野別基準を確認しながら体制整備を進めることが重要になります。

参考・出典

出入国在留管理庁・厚生労働省
「育成就労制度 運用要領(令和8年8月版)」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001467946.pdf

※本ページは公表されている育成就労制度運用要領の内容を一般向けに整理したものです。 実際の申請・受入れに当たっては、最新の法令、運用要領、分野別運用方針、告示、外国人育成就労機構の案内等をご確認ください。

2026-09-14 11:00:00

在留審査中に在留期限が切れた場合|特例期間・更新・変更・永住申請を行政書士が解説

「ビザの更新を申請したのに、まだ結果が来ない」
「もうすぐ在留カードに書かれた在留期限が切れてしまう」

このような場合でも、在留期限までに適切に在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を行っている場合には、在留期限が過ぎたからといって直ちに不法残留になるわけではありません。

在留審査中に在留期限が切れたらどうなる?
特例期間を行政書士が解説

外国人の方が日本に在留するための在留資格には、原則として在留期間が定められています。

そのため、引き続き日本で生活・就労する場合には、在留期限が来る前に在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請などを行う必要があります。

しかし、申請をしたからといって必ず在留期限までに審査結果が出るとは限りません。

このような場合のために設けられているのが、一般に「特例期間」と呼ばれる制度です。

結論

在留期限までに在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を行い、審査が続いている場合には、在留期限を過ぎても一定期間は適法に日本に在留できます。

ただし、「在留期限が過ぎてから2か月以内なら申請できる」という制度ではありません。原則として、申請自体は在留期限が来る前に行う必要があります。

特例期間とは?

在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を在留期間内に行ったものの、在留期限までに審査結果が出ない場合があります。

この場合、一定の要件を満たせば、

① 申請に対する処分がされる時
または
② 従前の在留期間満了日から2か月を経過する時

のいずれか早い時まで、引き続き日本に在留することができます。

出入国在留管理庁も、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請について、在留期限までに結果が出ない場合には、申請結果が出るまでの間、最長で在留期限から2か月先の日まで日本に在留できる旨を案内しています。

※在留期間が30日以下の場合には、この取扱いの対象外とされています。

具体例|在留期限が9月30日の場合

例

在留期限日:2026年9月30日

更新申請日:2026年9月15日

9月30日時点:まだ審査中

この場合、9月30日を過ぎたからといって、直ちに不法残留になるわけではありません。

申請に対する処分がされるまで、または在留期限から2か月を経過するまでのいずれか早い時まで、特例期間として在留することになります。

例えば、11月10日に許可・不許可等の処分が行われた場合には、その処分によって特例期間は終了します。

「期限が切れてから2か月以内に申請すればいい」わけではありません

ここは特に注意が必要です。

特例期間は、在留期限が切れた後に更新申請をするための猶予期間ではありません。

原則として、在留期間更新許可申請は在留期間満了日以前に行う必要があります。

在留資格変更許可申請についても、原則として在留期間満了日以前に申請する必要があります。

「在留期限から2か月間は何もしなくても大丈夫」という意味ではありませんので注意してください。

特例期間中も仕事を続けられる?

特例期間中は、基本的にこれまでの在留資格に基づく活動の範囲内で活動を続けることになります。

例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留期間更新許可申請を行い、その審査中に在留期限を迎えた場合には、従前の「技術・人文知識・国際業務」で認められる範囲内の仕事を継続することになります。

一方で、在留資格変更許可申請の場合には注意が必要です。

例えば、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更申請をしただけでは、まだ「技術・人文知識・国際業務」が許可されたわけではありません。

新しい在留資格でなければ行うことができない活動については、原則として変更許可を受けてから開始する必要があります。

就職・転職の開始日と在留資格変更許可の時期が近い場合には、特に注意が必要です。

オンライン申請の場合はどうなる?

在留申請オンラインシステムを利用して在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請をした場合にも、要件を満たせば特例期間の対象となります。

ただし、窓口申請とオンライン申請では大きな違いがあります。

オンライン申請では、在留カード裏面に「申請中」の表示がされません。

そのため、出入国在留管理庁は、在留カードに加えて、申請受付番号等が記載された受付完了メールを携行するよう案内しています。

オンライン申請を行政書士などが行った場合には、外国人本人が申請中であることを確認できるよう、受付完了メール等を適切に保管しておくことが重要です。

在留期限当日のオンライン申請にも注意

出入国在留管理庁のオンライン申請Q&Aでは、在留期限の最終日にはオンライン申請をすることができないと案内されています。

期限の最終日になってしまった場合には、管轄の地方出入国在留管理官署での手続を検討する必要があります。

在留期限ぎりぎりまで待たず、余裕を持って準備することをおすすめします。

永住許可申請中の場合は別です

永住許可申請をしているだけでは、現在の在留期限は延長されません。

永住許可申請は審査に時間がかかる場合があります。

その間に現在持っている「技術・人文知識・国際業務」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの在留期限が来る場合には、永住許可申請とは別に在留期間更新許可申請を行う必要があります。

更新・変更申請中
→ 要件を満たせば特例期間あり

永住許可申請だけをしている
→ 現在の在留期限は延長されない

永住許可申請中だから在留期間更新が不要だと誤解しないよう注意が必要です。

特例期間中のマイナンバーカードにも注意

在留カードの在留期限とマイナンバーカードの有効期限が連動している外国人の方は、特例期間に入る際にマイナンバーカードについても注意が必要です。

出入国在留管理庁は、特例期間中もマイナンバーカードを本人確認書類や電子証明書として利用するためには、在留期間満了日が経過する前に、市区町村でマイナンバーカードの有効期間に関する手続を行う必要がある旨を案内しています。

在留期限が近い方は、入管手続だけでなく、マイナンバーカードについても早めに確認しておくと安心です。

銀行口座などへの影響

特例期間中は法律上適法に在留していても、在留カードの券面には従前の在留期限が表示されています。

金融機関等では在留期限の確認を行っている場合があり、在留期間満了日までに必要な届出を行わないと、口座取引などが制限される場合があります。

特例期間に入ることが分かった場合には、利用している金融機関等に必要な手続を確認することをおすすめします。

よくある質問

Q.更新申請中に在留カードの期限が切れました。不法滞在になりますか?

在留期限までに適切に在留期間更新許可申請を行っており、審査が継続している場合には、特例期間の要件を満たせば直ちに不法残留になるわけではありません。


Q.特例期間は必ず2か月ありますか?

いいえ。

「在留期限から必ず2か月間在留できる」という意味ではありません。

申請に対する処分が行われた場合には、その処分の時点で特例期間との関係が変わります。2か月は審査が続いている場合の上限として考える必要があります。


Q.在留期限が切れてから更新申請できますか?

原則として、在留期間更新許可申請は在留期間の満了日以前に行う必要があります。

在留期限を過ぎてしまった場合には、自分で判断してそのままにせず、速やかに管轄の地方出入国在留管理官署へ相談してください。


Q.変更申請中に新しい会社で働けますか?

変更申請をしただけで、新しい在留資格が許可されたことにはなりません。

現在の在留資格では認められない活動を行うためには、原則として在留資格変更許可を受ける必要があります。特に「留学」から就労系在留資格へ変更する場合などは、勤務開始時期に注意してください。


Q.永住申請中なので更新しなくてもいいですか?

いいえ。

永住許可申請をしていても、現在の在留期限は自動的には延長されません。永住審査中に現在の在留期限が来る場合には、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。

在留期限が近い場合は早めの確認を

在留期限までに申請をすれば特例期間があるからといって、期限ぎりぎりまで申請を待つことはおすすめできません。

申請書類に不足がある場合、会社から必要書類を取得するのに時間がかかる場合、転職や婚姻状況の変化などについて追加の説明資料が必要になる場合もあります。

特に、

  • 在留期限まで1か月を切っている
  • 転職している
  • 前回申請時から仕事内容が変わった
  • 退職・休職・無職期間がある
  • 収入が大きく変わった
  • 離婚・別居など家族状況に変化がある
  • 留学から就労資格へ変更する
  • 永住許可申請中に現在の在留期限が近づいている

といった場合には、早めに必要な手続を確認することが大切です。

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まとめ

在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を在留期限までに行い、その審査中に在留期限を迎えた場合には、一定の要件のもとで特例期間が認められます。

ただし、特例期間は「在留期限を過ぎてから申請してもよい期間」ではありません。

また、在留資格変更許可申請中の活動内容、オンライン申請時の申請中であることの確認方法、マイナンバーカード、金融機関への届出など、在留期限そのもの以外にも注意する点があります。

特に永住許可申請については、申請中であっても現在の在留期限は延長されないため、期限が近づいた場合には別途更新申請を行う必要があります。

在留期限が近い方は、期限直前ではなく早めに現在の状況と必要な手続を確認しましょう。

参考:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」「在留資格変更許可申請」「在留申請時のお知らせ及び注意」「オンライン申請を行った場合に申請中(特例期間を含む)であることを証明することについて」「永住許可申請」等

※本ページは一般的な制度の案内を目的としています。実際に必要となる手続や申請方法は、在留資格・在留期限・申請状況等によって異なる場合があります。最新の情報は出入国在留管理庁の案内をご確認ください。

2026-09-12 09:00:00

中国、日本人向けビザ料金を大幅引き上げ|2026年9月14日から適用

中国、日本人向けビザ料金を大幅引き上げ|2026年9月14日から適用

中国政府は、日本国籍者が中国へ渡航する際に必要となる査証(ビザ)の料金を、2026年9月14日から変更すると発表しました。

中国駐日本国大使館は、今回の変更について「相互主義に基づく対応」と説明しています。

今回の主なポイント
・2026年9月14日から日本国籍者の中国ビザ料金を変更
・シングルビザは2,250円から16,750円へ
・中国側は「相互主義に基づく対応」と説明
・9月14日より前に受理された申請は従来料金
・現在、一定の条件を満たす日本人は30日以内の中国滞在についてビザ免除

2026年9月14日からの中国ビザ料金

中国ビザ申請サービスセンターが公表した日本国籍者向けの新しい査証料金は、次のとおりです。

入国回数 従来の料金 2026年9月14日以降
シングル 2,250円 16,750円
ダブル 3,750円 25,100円
半年マルチ 4,500円 33,500円
1年マルチ 7,500円 50,250円

特にシングルビザは、従来の2,250円から16,750円となり、約7.4倍の水準となります。

9月14日より前に受理された申請は従来料金

中国駐日本国大使館の発表によると、新しい料金が適用されるのは2026年9月14日からです。

9月14日より前に受理された査証申請については、従来の料金が適用されます。

また、日本で申請する第三国国民の査証についても、従来の料金が適用されるとされています。

中国側は「相互主義に基づく対応」と説明

中国側は今回の料金変更について、「相互主義に基づく対応」としています。

報道によると、日本政府が2026年7月に中国人を含む外国人の査証手数料を引き上げたことを受けた対応とみられています。

中国側が公式に示している理由は「相互主義に基づく対応」であり、今回の料金変更により、日本人が中国ビザを取得する場合の負担は従来より大きくなります。

現在は30日以内ならビザ免除となる場合も

一方で、今回の料金変更によって、すべての日本人が中国へ渡航する際にビザ料金を負担することになるわけではありません。

現在、中国政府は、日本国民の一般旅券所持者について、一定の条件を満たす場合に30日以内の滞在を対象とするビザ免除措置を実施しています。

対象となる主な渡航目的は、

  • 商業・貿易
  • 観光
  • 親族訪問
  • 交流・訪問
  • 30日を超えないトランジット

などです。

現在のビザ免除措置は、2026年12月31日までとされています。

このため、30日以内の観光や短期の商用など、ビザ免除の条件を満たす渡航については、現時点では今回の料金引き上げによる直接的な影響は限定的と考えられます。

留学や就労などはビザ免除の対象外

30日以内の滞在であっても、すべての渡航目的がビザ免除になるわけではありません。

例えば、留学や就労など、ビザ免除の条件に該当しない目的で中国へ入国する場合には、引き続き入国前に中国ビザを取得する必要があります。

また、30日を超えて滞在する場合なども、目的に応じたビザが必要になる可能性があります。

2027年以降のビザ免除措置にも注目

現在の日本人に対するビザ免除措置は、2026年12月31日までとされています。

今後、中国政府がビザ免除措置をさらに延長するかどうかについては、現時点では今後の発表を確認する必要があります。

仮にビザ免除措置が延長されなかった場合には、現在ビザなしで中国を訪問できている日本人についても、渡航目的などによっては今回改定されたビザ料金が関係してくる可能性があります。

まとめ

中国駐日本国大使館は、2026年9月14日から日本国籍者に対する中国ビザの料金を変更すると発表しました。

シングルビザは2,250円から16,750円となるなど、従来と比べて大幅な料金変更となります。

一方、日本国民の一般旅券所持者については、現在、観光や商用など一定の目的で30日以内滞在する場合のビザ免除措置が実施されています。

中国への渡航を予定している場合は、渡航目的・滞在期間によってビザが必要かどうかを確認するとともに、中国大使館や中国ビザ申請サービスセンターの最新情報を確認することが重要です。

参考資料

・中華人民共和国駐日本国大使館「査証料金の変更に関するお知らせ」(2026年9月11日)
・中国ビザ申請サービスセンター「査証料金の変更に関するお知らせ」
・在中国日本国大使館「中国渡航に必要な手続」
・テレビ朝日報道(2026年9月11日)

※本ページは2026年9月12日時点で公表されている情報をもとに作成しています。ビザ制度や料金、ビザ免除措置は変更される場合がありますので、渡航前には必ず関係機関の最新情報をご確認ください。

2026-09-11 12:00:00

ベトナムでアポスティーユ条約が発効|2026年9月11日から日本の公文書も領事認証が原則不要に

2026年9月11日、ベトナムについて「外国公文書の認証を不要とする条約(アポスティーユ条約)」が発効しました。

これにより、日本とベトナムの間で対象となる公文書を使用する場合、従来必要だった領事認証に代わり、原則としてアポスティーユによる手続が利用できるようになります。

ベトナムでアポスティーユ条約が2026年9月11日に発効

ベトナム政府は、外国公文書の認証を不要とするハーグ条約、いわゆる「アポスティーユ条約」の実施について定めた政令第293号/2026/ND-CPを2026年7月23日に公布しました。

同政令は、2026年9月11日から施行されています。

ベトナムは2025年12月31日にアポスティーユ条約への加入書を寄託し、ハーグ国際私法会議(HCCH)も、ベトナムについて同条約が2026年9月11日に発効することを公表しています。

日本はすでにアポスティーユ条約の締約国であり、日本からベトナムへ提出する対象公文書についても、日越間でアポスティーユ制度を利用できることになります。

そもそも「アポスティーユ」とは?

アポスティーユとは、外国公文書の認証を不要とするハーグ条約に基づいて、公文書が真正なものであることを確認するために付される証明です。

日本では外務省がアポスティーユを行っています。

アポスティーユによって確認されるのは、主に公文書にある署名、公印、署名者の資格・権限などです。

注意:アポスティーユは、その書類に記載された内容そのものが正しいことを証明する制度ではありません。公文書の署名や公印などの真正性を証明する制度です。

これまでの「領事認証」と何が変わる?

これまで、日本で発行された公文書をベトナムで使用する場合、書類によっては日本の外務省による公印確認を受けた後、さらに駐日ベトナム大使館・総領事館で領事認証を受けるという手続が必要でした。

アポスティーユ条約が日越間で適用されることにより、条約の対象となる公文書については、原則として日本の外務省によるアポスティーユを取得することで、ベトナム大使館・総領事館による追加の領事認証が不要になります。

比較 従来の代表的な手続 2026年9月11日以降
日本の対象公文書 外務省で公印確認 → ベトナム大使館等で領事認証 原則として外務省のアポスティーユ
ベトナムの対象公文書 領事認証等の手続 ベトナム側でアポスティーユを取得

複数の機関で認証を受ける手続が簡素化されるため、日本とベトナムの間で公文書を使用する個人や企業にとって重要な制度変更です。

ベトナム政府が定めたアポスティーユ対象文書

政令第293号/2026/ND-CP第10条では、ベトナムでアポスティーユの対象となる公文書を大きく5つの種類に分類しています。

① 裁判・司法関係の文書

裁判所、検察機関、捜査機関、判決執行機関などが作成・発行する判決、決定、訴訟関係文書など。

② 行政関係の文書

戸籍、国籍、養子縁組に関する書類、司法履歴書、学位・資格・学業成績関係書類、健康診断書など、権限を持つ行政機関等が発行・認証する文書。

③ 公証文書

公証された契約書、取引関係書類、翻訳文、写しなど。

④ 認証を受けた文書

原本からの写しの認証、署名認証、翻訳者の署名認証、契約・取引に関する認証文書など。

⑤ その他の公文書

ベトナムの権限ある機関・組織・担当者が、その法定の権限や職務に基づいて作成、発行または認証したその他の公文書。

すべての書類がアポスティーユ対象になるわけではない

一方、政令第293号では、アポスティーユの対象外となる書類についても定めています。

たとえば、ベトナムの外交官・領事官が外交・領事上の職務として作成した文書や、商業・税関業務に直接関係する一定の行政文書、公的権限に基づいて作成されておらず、公証・認証もされていない文書などです。

また、書類そのものが対象となる種類であっても、

  • 不正な消去・訂正・改変がある
  • 偽造と判断される
  • 発行機関、署名、公印、署名者の権限などを確認できない
  • すでに無効・取消しとなっている
  • 国外への持出しが禁止されている
  • 電子文書について有効なデジタル署名がない

といった場合には、アポスティーユが発給されないことがあります。

日本からベトナムへ提出する書類はどうなる?

日本の外務省によると、アポスティーユは、日本の官公署や自治体などが発行した公文書について行われる証明です。

そのため、ベトナムがアポスティーユ条約の締約国となったからといって、日本で作成されたあらゆる書類に、そのまま外務省のアポスティーユを付けられるわけではありません。

特に注意したいのが、私立学校・民間企業・民間医療機関などが発行した書類です。

これらは日本の外務省が直接アポスティーユを行う公文書に該当しないことがあり、その場合には、公証役場などで必要な手続を行ってからアポスティーユを取得する方法を検討することになります。

提出前に確認したいポイント

「ベトナムがアポスティーユ条約に加盟した」という点だけで判断せず、①提出する書類が公文書か私文書か、②日本側でどの認証方法を利用できるか、③ベトナムの提出先機関がどの形式を要求しているか、を確認することが重要です。

すでに領事認証を受けた書類はどうなる?

ベトナムの政令では、制度開始前に領事認証・領事合法化を受けた書類についての経過措置も設けられています。

2026年9月11日より前に、条約締約国の公文書についてベトナム側の領事合法化を適法に受けている場合、その書類は引き続きベトナムで使用できるとされています。

そのため、すでに領事認証を取得した書類について、条約発効を理由として一律にアポスティーユを取得し直す必要があるという制度ではありません。

ベトナム側のアポスティーユ発給機関

ベトナム政府の政令では、アポスティーユ発給についてベトナム外務省が権限を有すると定めています。

ハーグ国際私法会議(HCCH)の情報では、ベトナムの指定当局として、外務省領事局(ハノイ)およびホーチミン市の外務関係機関が掲載されています。

また、制度開始当初は紙のアポスティーユが使用され、その後、アポスティーユ情報システムの運用開始に合わせて、電子アポスティーユ(e-Apostille)、電子登録簿、QRコードなどを利用する仕組みへ移行することが予定されています。

日本とベトナム間の書類手続は大きく変わる可能性

日本とベトナムの間では、就職、留学、婚姻、会社関係手続、各種許認可など、さまざまな場面で公文書の提出が行われています。

今回のアポスティーユ条約の発効によって、対象となる公文書について従来の領事認証が原則不要となるため、手続の簡素化につながることが期待されます。

一方で、アポスティーユの対象となるのはあくまで条約上の「公文書」であり、私文書の取扱いや翻訳の要否、提出先独自の必要書類までなくなるわけではありません。

実際に書類を提出する際には、最新の外務省情報とともに、ベトナム側の提出先機関が求める条件を確認することが重要です。

参考情報

・VIETJOベトナムニュース「領事認証不要のハーグ条約が9月11日発効、日本の公文書も対象」(2026年9月10日配信)

・ベトナム政府 政令第293号/2026/ND-CP

・ハーグ国際私法会議(HCCH) Apostille Convention 関係資料

・日本国外務省「公印確認・アポスティーユとは」

ベトナム提出書類・アポスティーユについて

川越政伸行政書士事務所では、日本の公文書を海外へ提出する際の公印確認・アポスティーユなど、国際書類に関する手続についてご相談を承っています。

書類の種類や提出先によって必要な手続が異なるため、実際に申請する場合は提出先の最新の取扱いをご確認ください。

※本ページは2026年9月11日時点で公表されている情報をもとに、制度の概要を紹介するものです。個別の提出書類について、アポスティーユのみで受理されることを保証するものではありません。

2026-09-10 09:00:00

2026年10月1日から在留申請オンラインの手数料・納付方法が変更|出入国在留管理庁の公表内容を解説

2026年10月1日から在留申請オンラインの手数料・納付方法が変更|出入国在留管理庁の公表内容を解説

出入国在留管理庁は、2026年8月28日、2026年10月1日以降に受け付ける在留申請オンラインシステムによる申請について、手数料額と手数料の納付方法を変更することを公表しました。

今回の変更では、在留資格変更許可や在留期間更新許可について、許可される在留期間に応じて手数料額が変わるほか、オンライン申請の場合の納付方法が、従来の収入印紙からコンビニ決済または銀行決済へ変更されます。

この記事では、出入国在留管理庁が公表した内容をもとに、変更時期、オンライン申請の手数料、決済手数料、支払方法、受付日の考え方、注意すべきメールなどについて整理します。

この記事のポイント
・2026年10月1日以降に受け付けたオンライン申請から新しい手数料が適用される
・在留資格変更許可・在留期間更新許可は、許可される在留期間によって手数料が変わる
・オンライン申請では別途「決済手数料」が必要になる
・支払方法はコンビニ決済または銀行決済となる
・クレジットカード決済、QRコード決済には対応しない
・2026年10月1日以降のオンライン申請では収入印紙による納付はできない
・窓口申請では引き続き収入印紙で納付する
・決済案内メールの送信元について、出入国在留管理庁が詐欺メールへの注意を呼び掛けている

変更は2026年10月1日から

改正後の手数料は、2026年10月1日以降に受け付けた申請に適用されます。

ここで重要なのは、「許可された日」ではなく、原則として申請が受け付けられた日によって新旧どちらの手数料が適用されるかが決まる点です。

2026年9月30日までに受け付けられた申請
許可や交付が2026年10月1日以降になった場合でも、改定前の手数料が適用されます。

オンライン申請の受付日は、「申請受付仮番号」または「申請受付番号」が記載されたメールで確認することができます。

在留資格変更・在留期間更新のオンライン手数料

2026年10月1日以降に受け付けられるオンライン申請では、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料が、許可される在留期間に応じて区分されます。

許可期間 手数料 決済手数料 支払額合計
3月以下 10,000円 330円 10,330円
3月超6月以下 15,000円 330円 15,330円
6月超1年未満 21,000円 330円 21,330円
1年 27,000円 330円 27,330円
1年超3年未満 42,000円 330円 42,330円
3年以上5年未満 56,000円 550円 56,550円
5年以上 65,000円 550円 65,550円

※上記は、出入国在留管理庁が公表している2026年10月1日以降のオンライン申請に関する金額です。

2026年9月30日までに受付された申請は5,500円

2026年9月30日までに受け付けられたオンライン申請について、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料は5,500円です。

9月30日までに申請が受け付けられていれば、審査が10月以降まで続き、実際の許可や在留カードの交付が10月1日以降になったとしても、改定前の手数料が適用されます。

再入国許可・就労資格証明書の手数料

再入国許可と就労資格証明書については、手数料そのものの額は変更されませんが、オンラインで納付する場合には決済手数料220円が加算されます。

手続 手数料 決済手数料 支払額合計
再入国許可(1回限り) 3,500円 220円 3,720円
再入国許可(数次) 6,500円 220円 6,720円
就労資格証明書の交付 1,600円 220円 1,820円

決済手数料は、コンビニ決済を利用する場合でも銀行決済を利用する場合でも同額です。

オンライン申請では別途「決済手数料」が必要

2026年10月1日以降のオンライン申請では、在留許可等の手数料とは別に、出入国在留管理庁長官が指定する決済代行事業者への決済手数料が必要になります。

そのため、実際に支払う金額は「在留許可等の手数料」だけではなく、決済手数料を加えた金額となります。

支払方法は「コンビニ決済」または「銀行決済」

2026年10月1日以降にオンラインで申請した在留手続について、手数料の納付方法は次の2種類となります。

利用できる納付方法
・コンビニ決済
・銀行決済

銀行決済については、インターネットバンキングを利用することにより、オンラインで支払うことが可能です。

なお、コンビニ決済については、すべてのコンビニエンスストアが対応するわけではなく、一部対応していないコンビニがあると案内されています。

クレジットカード・QRコード決済には対応しない

オンライン申請の手数料納付がキャッシュレス化されますが、出入国在留管理庁の案内では、クレジットカード決済やQRコード決済には対応していません。

支払方法 オンライン申請
コンビニ決済 対応
銀行決済 対応
インターネットバンキング 銀行決済として利用可能
クレジットカード 非対応
QRコード決済 非対応

オンライン申請では収入印紙が使えなくなる

2026年10月1日以降にオンラインで申請したものについては、収入印紙によって手数料を納付することはできません。

一方、2026年9月30日以前に受け付けられたオンライン申請については、許可や交付が10月1日以降になった場合であっても、従来どおり収入印紙で手数料を納付します。

窓口申請は引き続き収入印紙

今回のコンビニ決済・銀行決済への変更は、在留申請オンラインシステムを利用して行う申請についての取扱いです。

地方出入国在留管理官署の窓口で申請した場合は、2026年10月1日以降も従来どおり収入印紙によって手数料を納付します。

オンライン申請
コンビニ決済または銀行決済

窓口申請
収入印紙による納付

支払金額が分かるのは審査完了後

2026年10月1日以降のオンライン申請について、実際に納付する手数料額は、審査完了後に確認することになります。

出入国在留管理庁から審査完了メールが送信された後、別途、決済リンクが記載された案内メールが送付されます。

この決済案内メールに、実際に納付する手数料額が記載されます。

オンライン申請の支払いまでの流れ

① 在留申請オンラインシステムから申請
↓
② 出入国在留管理庁による審査
↓
③ 審査完了メールが届く
↓
④ 決済代行事業者から決済案内メールが届く
↓
⑤ メールに記載された手数料額を確認
↓
⑥ コンビニ決済または銀行決済で納付

紙の納入通知書は送付されない

2026年10月1日以降のオンライン申請では、手数料納付のための納入通知書が紙で送付されることはありません。

手数料の案内はメールによって行われるため、オンラインシステムに登録しているメールアドレスやメールの受信設定を確認しておく必要があります。

重要|決済案内を装った詐欺メールに注意

出入国在留管理庁は、オンライン申請の手数料納付に関連して、詐欺メールへの注意喚起を行っています。

公式案内によると、オンライン申請における在留許可手数料の決済案内は、出入国在留管理庁長官が指定する決済代行事業者から送信されます。

出入国在留管理庁は、正規の決済案内メールについて「no-reply@service-dgft.com」から送信すると案内しており、それ以外のメールアドレスから手数料の納付を求めるメールについて注意するよう呼び掛けています。

決済を求めるメールが届いた場合は、送信元メールアドレスを確認し、不審なメールに記載されたリンクへアクセスしたり、支払いを行ったりしないことが重要です。

在留申請オンラインシステムは減額措置に対応していない

出入国在留管理庁は、在留申請オンラインシステムでは在留許可手数料の減額措置に対応していないと案内しています。

減額措置の対象となることを示す疎明資料を提出する場合には、オンラインではなく、地方出入国在留管理官署の窓口で在留諸申請を行う必要があります。

永住許可申請はオンライン申請の対象外

2026年10月1日の手数料改定では永住許可に係る手数料についても改定が行われますが、現在、在留申請オンラインシステムでは永住許可申請を行うことはできません。

そのため、このページで紹介している「オンライン申請における手数料額」の表には、永住許可申請の手数料は含まれていません。

出入国在留管理庁のQ&A

Q.キャッシュレス決済の対象となる申請は?

2026年10月1日以降にオンラインで申請した在留諸申請が対象とされています。

Q.10月1日以降もオンライン申請で収入印紙を使える?

2026年10月1日以降にオンラインで申請したものについては、収入印紙による納付はできません。

Q.9月30日以前に申請して、許可が10月になった場合は?

2026年9月30日以前に受け付けられた申請については、許可または交付が10月1日以降になっても、改定前の手数料となり、収入印紙で納付します。

Q.手数料はいつ分かる?

審査完了メールの送信後に、別途送付される決済リンク付きメールに、納付すべき手数料額が記載されます。

Q.窓口申請でもキャッシュレス決済できる?

できません。窓口で申請した場合は、引き続き収入印紙による納付となります。

まとめ

2026年10月1日以降、在留申請オンラインシステムを利用した在留手続では、手数料の額と納付方法が大きく変わります。

在留資格変更許可・在留期間更新許可については、許可される在留期間によって手数料が設定され、さらに決済代行事業者への決済手数料が加算されます。

また、オンライン申請では収入印紙による納付から、コンビニ決済または銀行決済へ変更されます。一方、クレジットカード決済やQRコード決済には対応していません。

新しい手数料が適用されるかどうかは、原則として申請の受付日によって決まります。2026年9月30日までに受け付けられた申請については、許可や交付が10月1日以降になった場合でも改定前の取扱いとなります。

さらに、手数料の決済案内がメールで行われるようになることから、出入国在留管理庁は詐欺メールについても注意を呼び掛けています。決済案内が届いた際には、送信元を確認することが重要です。

出典
出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について(2026年10月1日以降の申請分のみに適用)」

※本記事は、2026年9月10日時点で公表されている出入国在留管理庁の情報をもとに内容を整理したものです。制度や運用の詳細については、今後変更・追加される場合があります。

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