Blog
在留資格の変更・在留期間更新許可のガイドラインとは|入管が示す8つの考慮事項
在留資格の変更・在留期間更新許可のガイドラインとは|入管が示す8つの考慮事項
出入国在留管理庁は、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」を公表しています。
このガイドラインは平成20年(2008年)3月に策定され、現在公表されているものは令和8年(2026年)6月に最終改正されたものです。
外国人が日本で別の在留資格へ変更する場合や、現在の在留資格のまま在留期間を更新する場合、申請すれば当然に許可されるという制度ではありません。
入管法では、法務大臣が「変更又は更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があると判断した場合に許可する仕組みとなっています。
在留資格の変更・更新では、申請時点の資格要件だけでなく、それまで日本でどのように在留してきたかも含めて総合的に判断されます。
「在留資格の変更」と「在留期間の更新」の違い
在留資格の変更
在留資格の変更とは、現在持っている在留資格とは異なる活動を日本で行おうとするときに、新しい在留資格へ変更する手続です。
例えば、「留学」の在留資格で大学等に在籍していた外国人が、卒業後、日本の企業に就職して「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行う場合などが考えられます。
在留資格変更許可申請は、入管法第20条に基づく手続です。
在留期間の更新
在留期間の更新とは、現在の在留資格を変更することなく、現在認められている在留期間を超えて引き続き日本に在留するための手続です。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で引き続き同じ種類の活動を行う場合などに、在留期間更新許可申請を行います。
在留期間更新許可申請は、入管法第21条に基づく手続です。
変更・更新は「相当の理由」がある場合に許可される
入管法では、在留資格の変更及び在留期間の更新について、法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することができるとされています。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、この「相当の理由」があるかどうかについて、申請者が日本で行おうとする活動、これまでの在留状況、日本に引き続き在留する必要性などを総合的に考慮して判断するとしています。
ガイドラインに書かれている項目をすべて満たせば、必ず許可されるという仕組みではありません。
第3項以下については代表的な考慮要素であり、すべてに該当していても、その他の事情を含めて総合的に判断した結果、変更又は更新が許可されない場合があります。
ガイドラインで示されている8つの事項
現在のガイドラインでは、変更・更新の判断に関係する主な事項として次の8項目が示されています。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 1 | 行おうとする活動が申請する在留資格に該当すること |
| 2 | 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること |
| 3 | 現在の在留資格に応じた活動を行っていたこと |
| 4 | 素行が不良でないこと |
| 5 | 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること |
| 6 | 雇用・労働条件が適正であること |
| 7 | 納税義務等を履行していること |
| 8 | 入管法に定める届出等の義務を履行していること |
1.行おうとする活動が在留資格に該当すること
最初に確認されるのが、「これから日本で行おうとする活動が、申請する在留資格に該当しているか」という点です。
入管法別表第一に定められている活動資格については、それぞれの在留資格について法律上定められた活動に該当する必要があります。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」であれば、その在留資格に該当する専門的・技術的な業務等を行うことが前提となります。
一方、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、入管法別表第二に定められている在留資格については、それぞれ法律上の身分又は地位に基づく在留であることが必要です。
在留資格該当性は、単なる「考慮要素」ではありません。
ガイドラインでは、第1項の在留資格該当性について、許可する際に必要な要件であることを明記しています。
2.上陸許可基準等への適合
一定の活動資格については、学歴、実務経験、報酬、受入れ機関などについて法務省令で「上陸許可基準」が定められています。
この基準は本来、外国人が日本へ新たに入国するときの上陸審査に用いられるものですが、在留資格変更や在留期間更新の際にも、対象となる在留資格については原則として適合していることが求められます。
つまり、日本への入国時には要件を満たしていた場合でも、その後の事情によって基準との関係が変化していないかが確認される場合があります。
「特定活動」と「定住者」
「特定活動」について、特定活動告示に該当することを前提として上陸許可を受けた場合には、原則として更新時にも引き続き告示の要件に該当することが求められます。
「定住者」についても、定住者告示に該当することを前提として上陸を許可された場合には、原則として引き続き告示に定める要件への適合が求められます。
入国後の事情変更も考慮される
一方、年齢や扶養関係などは、時間の経過によって当然に変化する場合があります。
例えば、入国後に年齢を重ねたり、扶養を受ける状況が変化した結果、入国時と同じ要件を形式的には満たさなくなることがあります。
ガイドラインでは、このような事情の変化だけで直ちに在留期間更新が不許可になるものではないとされています。
3.現在の在留資格に応じた活動を行っていたこと
令和8年版のガイドラインでは、現在持っている在留資格に対応する活動を実際に行っていたことも明確な考慮事項として示されています。
申請時にこれから行う活動だけを見るのではなく、それまでの在留期間中にどのような活動を行っていたのかも確認されるということです。
技能実習生が失踪していた場合
ガイドラインでは例として、失踪した技能実習生が挙げられています。
技能実習の在留資格を持ちながら、その資格に対応する技能実習活動を行っていなかった場合には、正当な理由がある場合を除き、変更・更新の判断において消極的な要素として評価されます。
留学生が除籍・退学した後も在留していた場合
「留学」の在留資格は、大学、専門学校、日本語教育機関などで教育を受ける活動を行うための資格です。
そのため、除籍又は退学した後も、正当な理由なく長期間「留学」の在留資格のまま在留していた場合には、消極的な要素として評価されます。
長期間の海外滞在
再入国許可やみなし再入国許可を利用して長期間日本国外に滞在していた場合についても、正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価されます。
再入国許可があるという事実だけで、その期間の日本国内での活動実態について一切考慮されなくなるというわけではありません。
4.素行が不良でないこと
在留資格の変更・更新では、申請者の素行も考慮されます。
ガイドラインでは、素行が善良であることが前提であり、良好でない場合には消極的な要素として評価されるとしています。
具体例として、次のような行為が挙げられています。
- 退去強制事由に準ずるような刑事処分を受ける原因となった行為
- 不法就労をあっせんする行為
- その他、出入国在留管理行政上看過できない行為
このような行為については、初犯であったとしても素行不良と判断される場合があることがガイドラインに明記されています。
5.独立の生計を営むに足りる資産又は技能
申請者の生活状況についても考慮されます。
ガイドラインでは、日常生活において公共の負担となっておらず、資産や技能等から見て、将来にわたり安定した生活が見込まれることが求められています。
本人単独ではなく「世帯単位」でも判断
重要なのは、独立生計について必ずしも本人一人の収入だけで判断するものではないという点です。
ガイドラインでは、世帯単位で認められれば足りるとしています。
例えば、本人の収入だけでなく、同一世帯で生活する配偶者等の収入や資産も含めた生活状況が考慮される場合があります。
公共の負担となっていれば必ず不許可というわけではない
一方、公共の負担となっている場合であっても、在留を認めるべき人道上の理由がある場合には、その事情を十分に考慮して判断するとされています。
したがって、この項目についても単純な一律基準ではなく、個々の事情を含めて判断されます。
6.雇用・労働条件が適正であること
日本で就労している、又はこれから就労する外国人については、雇用・労働条件が労働関係法令に適合していることが必要です。
対象は正社員等だけではなく、アルバイトも含まれます。
したがって、賃金、労働時間などの労働条件について、労働基準法、最低賃金法をはじめとする関係法令への適合が問題となります。
会社側の労働法違反を直ちに外国人本人の責任にはしない
ガイドラインでは、労働関係法規違反によって雇用主等に勧告などが行われたことが判明した場合でも、通常は申請者である外国人本人に責任があるものではないことから、その点を十分に考慮して判断するとしています。
雇用先に問題があったという事実だけをもって、当然に外国人本人の変更・更新を不許可とするという考え方ではありません。
7.納税義務等を履行していること
納税義務がある外国人については、その納税義務を履行していることが求められます。
納税義務を履行していない場合には、変更・更新の審査において消極的な要素として評価されます。
高額・長期間の未納
ガイドラインでは、納税義務を履行しなかったことにより刑を受けた場合だけを問題としているわけではありません。
刑事処分を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明し、悪質と判断される場合には、同様に納税義務を適切に履行していないものとして取り扱うとしています。
国民健康保険料等も対象
税金だけではなく、国民健康保険料など、法律によって納付義務が定められているものについても考慮されます。
国民健康保険料などについて高額又は長期間の未納が判明し、悪質なものと判断される場合には、変更・更新の審査における消極的な要素となります。
令和8年(2026年)6月改正のポイント
最新のガイドラインでは、出入国在留管理庁からの求めに応じて関係機関から提供された納税義務等の履行状況に関する情報を踏まえ、許否判断を行う場合があることが注記されています。
健康保険の資格情報等の提示
出入国在留管理庁は、社会保険への加入を促進するため、平成22年(2010年)4月1日から申請時に健康保険証の提示を求める取扱いを行ってきました。
令和6年(2024年)12月2日に従来の健康保険証の新規発行が廃止されたことに伴い、健康保険証を持っていない場合には、次のような方法で資格情報の提示を求めています。
- スマートフォン等によるマイナポータルの「資格情報」画面
- 「資格情報のお知らせ」
- 「資格確認書」
健康保険証等を提示できないことだけを理由として、在留資格変更又は在留期間更新を不許可にするものではありません。
この点は、出入国在留管理庁のガイドラインにも明記されています。
8.入管法に定める届出等の義務を履行していること
中長期在留者には、入管法に基づいてさまざまな届出や手続を行う義務があります。
ガイドラインでは、これらの義務を適切に履行していることも、変更・更新における考慮事項としています。
代表的なものとして次のような手続があります。
- 在留カードの記載事項に関する届出
- 在留カードの有効期間更新申請
- 在留カードを紛失した場合等の再交付申請
- 在留カードの返納
- 所属機関等に関する届出
所属機関等に関する届出
在留資格によっては、勤務先や学校などに変更があった場合、出入国在留管理庁への届出が必要となります。
例えば、対象となる在留資格を持つ外国人が会社を退職した場合、新しい会社に就職した場合、学校を卒業・退学した場合などには、所属機関に関する届出が必要となることがあります。
このような届出義務を適切に履行しているかどうかについても、変更・更新審査で考慮されます。
ガイドラインの「中長期在留者」とは
ガイドラインでは、中長期在留者について、入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人で、次のいずれにも該当しない人と整理しています。
- 「3月」以下の在留期間が決定された人
- 「短期滞在」の在留資格が決定された人
- 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
- これらに準ずる者として法務省令で定められている人
- 特別永住者
8項目の位置付けはすべて同じではない
ガイドラインを読む上で重要なのが、8つの項目すべてが法律上まったく同じ性質を持つわけではないという点です。
| 項目 | ガイドライン上の位置付け |
|---|---|
| 1 在留資格該当性 | 許可する際に必要な要件 |
| 2 上陸許可基準等 | 原則として適合が求められる |
| 3~8 | 「相当の理由」の有無を判断する際の代表的な考慮要素 |
特に第3項から第8項までについては、個別の事情を含む総合判断の一部です。
「一つ問題があれば必ず不許可」という制度ではない
例えば、過去に在留資格に対応する活動を行っていない期間がある、納税に問題があった、届出が遅れていたなどの事情がある場合でも、その一点だけを機械的に見て許否を判断する仕組みではありません。
ガイドラインでは、活動状況、在留状況、日本で在留する必要性、問題が生じた理由など、さまざまな事情を総合的に考慮して判断する考え方が示されています。
一方で、ガイドラインに示された事項を形式上すべて満たしているように見える場合であっても、その他の事情を含めて総合的に審査した結果、不許可となることがあります。
在留期間更新の申請時期
在留期間更新許可申請は、在留期間の満了日までに行います。
出入国在留管理庁では、6か月以上の在留期間を持つ人については、原則として在留期間満了日の3か月前から申請を受け付けています。
真にやむを得ない特別な事情があると認められる場合には、必要資料を提出した上で、3か月より前から申請を受け付ける場合もあります。
在留資格変更の申請時期
在留資格変更許可申請については、在留資格を変更する事情が生じたときから現在の在留期間満了日までの間に申請します。
例えば、留学生が卒業して就職する場合など、現在の在留資格に基づく活動を終了し、新しい活動へ移行するときに利用されます。
変更・更新の標準処理期間
出入国在留管理庁が公表している標準処理期間は、次のとおりです。
| 申請 | 標準処理期間 |
|---|---|
| 在留資格変更許可申請 | 1か月~2か月 |
| 在留期間更新許可申請 | 2週間~1か月 |
これは標準的な処理期間であり、個別の申請について必ずこの期間内に結果が出ることを保証するものではありません。
変更・更新の審査で確認される内容を整理すると
現在のガイドラインを整理すると、変更・更新審査では、大きく次のような視点から申請者の状況が確認されることが分かります。
これから行う活動
- 申請する在留資格に該当する活動なのか
- 必要な上陸許可基準等を満たしているか
これまでの在留状況
- 現在の在留資格に対応する活動を実際に行っていたか
- 正当な理由なく活動を停止していないか
- 長期間海外に滞在していないか
日本での生活状況
- 素行に問題がないか
- 安定した生活を続けられる状況にあるか
- 納税義務等を適切に履行しているか
就労状況
- 雇用・労働条件が適法であるか
- アルバイトを含め労働関係法令に適合しているか
入管法上の手続
- 在留カード関係の手続を行っているか
- 所属機関等に関する届出を行っているか
- その他の入管法上の義務を履行しているか
令和8年6月改正で確認しておきたい点
現在公表されているガイドラインは令和8年(2026年)6月最終改正版です。
今回の改正では、「7 納税義務等を履行していること」に関する注記などが追加されています。
特に、出入国在留管理庁の求めに応じて関係機関から提供された納税義務等の履行状況に関する情報を踏まえ、変更・更新の許否判断を行う場合があることが明記されました。
納税や法令上の納付義務については、単に申請時に提出された資料だけではなく、関係機関から提供された情報が判断材料となる場合があることが示されています。
まとめ
出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」は、変更・更新の判断に当たって考慮される代表的な事項を示したものです。
現在のガイドラインでは、次の8項目が示されています。
- 行おうとする活動が申請する在留資格に該当すること
- 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
- 現在有している在留資格に応じた活動を行っていたこと
- 素行が不良でないこと
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 雇用・労働条件が適正であること
- 納税義務等を履行していること
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
このうち、在留資格該当性は許可に必要な要件であり、上陸許可基準等については原則として適合することが求められます。
第3項以下は、変更又は更新を適当と認めるに足りる「相当の理由」があるかどうかを判断するための代表的な考慮要素です。
変更・更新の審査では、これから日本で何をするのかだけでなく、それまで在留資格に基づく活動を適切に行ってきたか、生活や労働の状況、納税・社会保険料等の履行状況、入管法上の届出義務なども含めて総合的に判断されます。
出典・参考資料
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(平成20年3月策定・最終改正令和8年6月)
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
- 出入国管理及び難民認定法第20条・第21条
※本ページは、出入国在留管理庁が公表しているガイドライン及び関係法令をもとに、在留資格の変更・在留期間更新許可における一般的な考慮事項を整理したものです。個別の申請に対する許否は、申請人ごとの具体的な事情を総合的に考慮して判断されます。
