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ベトナムでアポスティーユ条約が発効|2026年9月11日から日本の公文書も領事認証が原則不要に
2026年9月11日、ベトナムについて「外国公文書の認証を不要とする条約(アポスティーユ条約)」が発効しました。
これにより、日本とベトナムの間で対象となる公文書を使用する場合、従来必要だった領事認証に代わり、原則としてアポスティーユによる手続が利用できるようになります。
ベトナムでアポスティーユ条約が2026年9月11日に発効
ベトナム政府は、外国公文書の認証を不要とするハーグ条約、いわゆる「アポスティーユ条約」の実施について定めた政令第293号/2026/ND-CPを2026年7月23日に公布しました。
同政令は、2026年9月11日から施行されています。
ベトナムは2025年12月31日にアポスティーユ条約への加入書を寄託し、ハーグ国際私法会議(HCCH)も、ベトナムについて同条約が2026年9月11日に発効することを公表しています。
日本はすでにアポスティーユ条約の締約国であり、日本からベトナムへ提出する対象公文書についても、日越間でアポスティーユ制度を利用できることになります。
そもそも「アポスティーユ」とは?
アポスティーユとは、外国公文書の認証を不要とするハーグ条約に基づいて、公文書が真正なものであることを確認するために付される証明です。
日本では外務省がアポスティーユを行っています。
アポスティーユによって確認されるのは、主に公文書にある署名、公印、署名者の資格・権限などです。
注意:アポスティーユは、その書類に記載された内容そのものが正しいことを証明する制度ではありません。公文書の署名や公印などの真正性を証明する制度です。
これまでの「領事認証」と何が変わる?
これまで、日本で発行された公文書をベトナムで使用する場合、書類によっては日本の外務省による公印確認を受けた後、さらに駐日ベトナム大使館・総領事館で領事認証を受けるという手続が必要でした。
アポスティーユ条約が日越間で適用されることにより、条約の対象となる公文書については、原則として日本の外務省によるアポスティーユを取得することで、ベトナム大使館・総領事館による追加の領事認証が不要になります。
| 比較 | 従来の代表的な手続 | 2026年9月11日以降 |
|---|---|---|
| 日本の対象公文書 | 外務省で公印確認 → ベトナム大使館等で領事認証 | 原則として外務省のアポスティーユ |
| ベトナムの対象公文書 | 領事認証等の手続 | ベトナム側でアポスティーユを取得 |
複数の機関で認証を受ける手続が簡素化されるため、日本とベトナムの間で公文書を使用する個人や企業にとって重要な制度変更です。
ベトナム政府が定めたアポスティーユ対象文書
政令第293号/2026/ND-CP第10条では、ベトナムでアポスティーユの対象となる公文書を大きく5つの種類に分類しています。
① 裁判・司法関係の文書
裁判所、検察機関、捜査機関、判決執行機関などが作成・発行する判決、決定、訴訟関係文書など。
② 行政関係の文書
戸籍、国籍、養子縁組に関する書類、司法履歴書、学位・資格・学業成績関係書類、健康診断書など、権限を持つ行政機関等が発行・認証する文書。
③ 公証文書
公証された契約書、取引関係書類、翻訳文、写しなど。
④ 認証を受けた文書
原本からの写しの認証、署名認証、翻訳者の署名認証、契約・取引に関する認証文書など。
⑤ その他の公文書
ベトナムの権限ある機関・組織・担当者が、その法定の権限や職務に基づいて作成、発行または認証したその他の公文書。
すべての書類がアポスティーユ対象になるわけではない
一方、政令第293号では、アポスティーユの対象外となる書類についても定めています。
たとえば、ベトナムの外交官・領事官が外交・領事上の職務として作成した文書や、商業・税関業務に直接関係する一定の行政文書、公的権限に基づいて作成されておらず、公証・認証もされていない文書などです。
また、書類そのものが対象となる種類であっても、
- 不正な消去・訂正・改変がある
- 偽造と判断される
- 発行機関、署名、公印、署名者の権限などを確認できない
- すでに無効・取消しとなっている
- 国外への持出しが禁止されている
- 電子文書について有効なデジタル署名がない
といった場合には、アポスティーユが発給されないことがあります。
日本からベトナムへ提出する書類はどうなる?
日本の外務省によると、アポスティーユは、日本の官公署や自治体などが発行した公文書について行われる証明です。
そのため、ベトナムがアポスティーユ条約の締約国となったからといって、日本で作成されたあらゆる書類に、そのまま外務省のアポスティーユを付けられるわけではありません。
特に注意したいのが、私立学校・民間企業・民間医療機関などが発行した書類です。
これらは日本の外務省が直接アポスティーユを行う公文書に該当しないことがあり、その場合には、公証役場などで必要な手続を行ってからアポスティーユを取得する方法を検討することになります。
提出前に確認したいポイント
「ベトナムがアポスティーユ条約に加盟した」という点だけで判断せず、①提出する書類が公文書か私文書か、②日本側でどの認証方法を利用できるか、③ベトナムの提出先機関がどの形式を要求しているか、を確認することが重要です。
すでに領事認証を受けた書類はどうなる?
ベトナムの政令では、制度開始前に領事認証・領事合法化を受けた書類についての経過措置も設けられています。
2026年9月11日より前に、条約締約国の公文書についてベトナム側の領事合法化を適法に受けている場合、その書類は引き続きベトナムで使用できるとされています。
そのため、すでに領事認証を取得した書類について、条約発効を理由として一律にアポスティーユを取得し直す必要があるという制度ではありません。
ベトナム側のアポスティーユ発給機関
ベトナム政府の政令では、アポスティーユ発給についてベトナム外務省が権限を有すると定めています。
ハーグ国際私法会議(HCCH)の情報では、ベトナムの指定当局として、外務省領事局(ハノイ)およびホーチミン市の外務関係機関が掲載されています。
また、制度開始当初は紙のアポスティーユが使用され、その後、アポスティーユ情報システムの運用開始に合わせて、電子アポスティーユ(e-Apostille)、電子登録簿、QRコードなどを利用する仕組みへ移行することが予定されています。
日本とベトナム間の書類手続は大きく変わる可能性
日本とベトナムの間では、就職、留学、婚姻、会社関係手続、各種許認可など、さまざまな場面で公文書の提出が行われています。
今回のアポスティーユ条約の発効によって、対象となる公文書について従来の領事認証が原則不要となるため、手続の簡素化につながることが期待されます。
一方で、アポスティーユの対象となるのはあくまで条約上の「公文書」であり、私文書の取扱いや翻訳の要否、提出先独自の必要書類までなくなるわけではありません。
実際に書類を提出する際には、最新の外務省情報とともに、ベトナム側の提出先機関が求める条件を確認することが重要です。
参考情報
・VIETJOベトナムニュース「領事認証不要のハーグ条約が9月11日発効、日本の公文書も対象」(2026年9月10日配信)
・ベトナム政府 政令第293号/2026/ND-CP
・ハーグ国際私法会議(HCCH) Apostille Convention 関係資料
・日本国外務省「公印確認・アポスティーユとは」
ベトナム提出書類・アポスティーユについて
川越政伸行政書士事務所では、日本の公文書を海外へ提出する際の公印確認・アポスティーユなど、国際書類に関する手続についてご相談を承っています。
書類の種類や提出先によって必要な手続が異なるため、実際に申請する場合は提出先の最新の取扱いをご確認ください。
※本ページは2026年9月11日時点で公表されている情報をもとに、制度の概要を紹介するものです。個別の提出書類について、アポスティーユのみで受理されることを保証するものではありません。
