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2026-09-15 17:00:00

育成就労制度運用要領(令和8年8月版)|受入企業・監理支援機関の実務ポイント

2027年4月1日施行 令和8年8月版 育成就労制度

育成就労制度運用要領(令和8年8月版)が公表
2027年4月施行に向けた実務ポイントを詳しく解説

出入国在留管理庁・厚生労働省が公表している 「育成就労制度 運用要領」の令和8年8月版について、 受入れ企業・事業協同組合・監理支援機関等が確認しておきたい内容を整理します。

育成就労制度は、現在の技能実習制度を抜本的に見直し、 人手不足分野における人材育成と人材確保を目的として創設された制度です。

原則3年間の就労を通じて、 特定技能1号で求められる水準の技能を有する人材を育成する という点が制度の大きな特徴です。

【令和8年8月版について】
育成就労制度運用要領は、令和8年2月20日に公表された後、 令和8年4月6日、同年8月3日に一部改正されています。

今回紹介するのは、これらの改正内容を反映した 令和8年8月版の全体版です。

育成就労制度は2027年4月1日から始まります

育成就労制度に関する改正法は2024年6月21日に公布され、 2027年4月1日から育成就労外国人の受入れが開始されます。

これまでの技能実習制度は、技能移転による国際貢献を目的とする制度でした。

これに対して育成就労制度は、 日本国内の人手不足分野について、 外国人を育成しながら人材を確保することを制度目的として明確に位置付けています。

育成就労制度の基本的な考え方
  • 育成就労産業分野における人材育成
  • 深刻な人手不足に対応するための人材確保
  • 原則3年間の就労による技能育成
  • 特定技能1号水準への到達を目指す
  • 育成就労外国人の人権・権利を適切に保護する
  • 特定技能制度との連続性を持たせる

育成就労期間は原則3年間

育成就労制度では、 原則として3年間の育成就労を行います。

育成就労実施者は、受け入れる外国人ごとに育成就労計画を作成し、 外国人育成就労機構から認定を受ける必要があります。

運用要領では、3年を下回る育成就労計画については、 適正な人材育成を行えるものと認められず、 認定を受けられない可能性があることも示されています。

ポイント
「3年間働いてもらう」というだけではなく、 3年間で特定技能1号水準の技能を身に付けてもらうことを前提として、 育成内容・業務内容・技能評価・日本語学習等を計画する必要があります。

育成就労の対象は17分野

令和8年8月版の運用要領では、 育成就労産業分野として次の17分野が示されています。

1.介護
2.ビルクリーニング
3.リネンサプライ
4.工業製品製造業
5.建設
6.造船・舶用工業
7.自動車整備
8.宿泊
9.鉄道
10.物流倉庫
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業
15.林業
16.木材産業
17.資源循環

分野によって複数の業務区分が設定されています。

例えば工業製品製造業には機械金属加工、電気電子機器組立て、 金属表面処理、縫製、家具製造など複数の業務区分があります。

建設分野についても、土木、建築、ライフライン・設備などに区分されています。

育成就労を行わせる場合には、 単に上記の分野に属していればよいわけではなく、 実際に行わせる業務が該当する業務区分に含まれているか を確認する必要があります。

単純作業だけでは育成就労として認められません

育成就労制度は、人材育成を目的とした制度です。

そのため、育成する技能については、 同一の作業の反復だけで修得できるものではないこと が求められます。

また、技能修得の中心となる「必須業務」については、 業務に従事する時間全体の 3分の1以上 を確保する必要があります。

安全衛生に関する業務についても、 一定の割合を確保することが求められています。

技能実習制度からの変更点
技能実習制度で使われていた 「関連業務」「周辺業務」という区分は育成就労制度ではなくなります。

育成就労では、業務区分の中で修得を目標とする主たる技能を定め、 その技能を計画的に身に付けることが重視されます。

育成就労計画の認定が必要

育成就労を行わせる企業等は、 外国人ごとに育成就労計画を作成し、 外国人育成就労機構の認定を受ける必要があります。

監理型育成就労の場合には、 監理支援機関の指導を受けながら育成就労計画を作成します。

業務内容
どの分野・業務区分で、どのような技能を身に付けるのかを明確にします。
育成期間
原則3年間の育成スケジュールを設定します。
技能の目標
特定技能1号水準を念頭に技能評価の目標を設定します。
日本語能力
日本語能力の目標と必要な日本語教育を計画します。
指導体制
育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員等を配置します。
待遇
報酬、労働時間、宿泊施設、外国人が負担する費用等も計画に記載します。

技能と日本語能力を途中・終了時に確認

育成就労制度では、 外国人を受け入れて働いてもらうだけではなく、 実際に技能が身に付いているかを評価する仕組みが設けられています。

育成就労開始後1年が経過する時点や、 育成就労終了時などに、 定められた技能試験等を受験し、 育成の効果を確認します。

最終的には、 特定技能1号への移行につながる技能水準 への到達を目指します。

日本語教育が制度上重要になります

育成就労制度では、 技能だけでなく日本語能力の育成も重要な制度要件となっています。

就労開始前には、原則として 「日本語教育の参照枠」の A1相当 の日本語能力を身に付けることが前提とされています。

A1相当の試験に合格していない場合

育成就労計画認定申請時にA1相当の日本語試験に合格していない場合、 入国後講習は原則として 合計320時間以上 必要となります。

このうち日本語について、 A1相当を目標とする認定日本語教育機関の 「就労のための課程」による講習を 100時間以上 受講することが基本となります。

A1相当の試験に合格している場合

認定申請時にA1相当の日本語能力が確認できる場合、 入国後講習は原則として 合計220時間以上 となります。

なお、一定の入国前講習を受講している場合には、 入国後講習時間について別の取扱いがあります。

A2相当を目標とする日本語教育

3年間の育成就労期間中には、 日本語能力の目標達成に向けて、 認定日本語教育機関の「就労のための課程」等による 必要な日本語学習の機会を確保することが求められます。

必要なA2目標講習の受講機会を意図的に与えなかった場合には、 育成就労計画に基づく育成就労が行われていないものとして、 認定取消し等の対象となる可能性があります。

入国後講習も重要な制度要件

監理型育成就労では、 原則として実際の就労を開始する前に入国後講習を行います。

講習には日本語だけでなく、 日本での生活一般に関する知識、 法的保護に必要な情報、 技能修得に役立つ知識等が含まれます。

法的保護科目については 8時間以上 とされています。

また、入国後講習期間中に外国人が講習へ専念できるよう、 食費・居住費等に本人負担がある場合には、 それと同等以上の講習手当を支給する必要があります。

本人の希望による「転籍」が制度化されます

技能実習制度との大きな違いの一つが、 育成就労外国人本人の意向による転籍です。

育成就労では、一定の条件を満たした場合、 本人の希望により育成就労実施者を変更することができます。

転籍制限期間は分野ごとに1年以上2年以下

本人意向による転籍については、 各育成就労産業分野ごとに、 1年以上2年以下 の範囲で転籍制限期間が設定されます。

分野別運用方針で2年と設定されている場合でも、 育成就労実施者が育成就労計画上、 自主的に1年と設定することも可能です。

また、本人意向による転籍には、 一定の技能水準や日本語能力等の要件も設定されます。

転籍後にも注意
一度本人意向による転籍をした後、 さらに本人意向で転籍する場合には、 原則として転籍後の育成就労実施者の下でも 所定の転籍制限期間を経過する必要があります。

外国人の待遇についても細かい基準があります

育成就労制度では、 外国人の待遇について詳細な基準が設けられています。

  • 外国人であることを理由とした差別的な待遇をしないこと
  • 適切な宿泊施設を確保すること
  • 外国人が負担する食費・居住費等について十分に説明すること
  • 本人が費用内容を理解した上で合意していること
  • 徴収する費用が実費相当など適正な額であること
  • 監理支援費を外国人本人に直接・間接に負担させないこと
  • 技能の修得状況に応じた待遇向上を図ること

宿泊施設は原則1人4.5㎡以上

宿泊施設については、 育成就労外国人が健康で快適に生活できるようにする観点から、 寝室について原則として 1人当たり4.5㎡以上 のスペースを確保する必要があります。

食費・居住費・水道光熱費は自由に徴収できない

食費、居住費、水道光熱費等を外国人に負担させる場合、 本人が内容を理解して合意しているだけでなく、 金額も合理的なものでなければなりません。

借上げ住宅の場合には、 家賃、管理費、共益費等の実際に定期的に発生する費用を、 入居人数等に応じて合理的に按分することが基本となります。

監理支援費を育成就労外国人へ負担させることは禁止

監理支援機関が育成就労実施者から徴収する 監理支援費については、 育成就労外国人本人へ直接又は間接に負担させてはいけません。

監理支援費には、 職業紹介費、講習費、監査指導費、その他諸経費などがあります。

これらは、用途と金額をあらかじめ明示した上で、 監理型育成就労実施者等から実費の範囲で徴収する仕組みとなります。

育成就労外国人の受入れ人数にも上限があります

育成就労制度では、 企業の常勤職員数等を基準とした 受入れ人数枠が設けられています。

通常の監理型育成就労では、 例えば常勤職員数が1人の場合は3人、 2人の場合は6人、 3人以上30人以下の場合は9人など、 常勤職員数に応じて基本人数枠が設定されています。

また、育成就労実施者が優良である場合などには、 通常より大きな人数枠が適用される場合があります。

山形県は「地方特別枠」の指定区域に含まれます

育成就労制度では、 育成就労外国人が地方から大都市圏へ過度に集中することを防ぎ、 地方における人材確保を促進する仕組みも設けられています。

一定の条件を満たす優良な育成就労実施者等については、 地方特別枠として通常より大きな受入れ人数枠が認められる場合があります。

山形県は指定区域です。

運用要領では、山形県全域が地方特別枠に関する「指定区域」に含まれています。

監理型育成就労の場合、 育成就労実施者と監理支援機関の双方が優良であることなど、 所定の要件を満たすことで、 通常より大きな受入れ人数枠が適用される可能性があります。

技能実習の監理団体は自動的に監理支援機関にはなりません

現在、技能実習制度で監理団体の許可を受けている事業協同組合等であっても、 育成就労制度において監理支援事業を行うためには、 新たに監理支援機関の許可 を受ける必要があります。

現在の監理団体許可が、そのまま監理支援機関の許可へ移行するわけではありません。

監理支援機関には厳格な許可基準があります

監理支援機関については、 法人形態だけでなく、 人的体制、財産的基礎、個人情報管理、 相談体制、監査体制など幅広い許可基準があります。

法人形態
監理支援事業を行うことができる法人である必要があります。
人的体制
監理支援責任者など必要な役職員を配置します。
相談体制
育成就労外国人からの相談に対応できる体制が必要です。
財産的基礎
継続して監理支援事業を行える財産的基礎が求められます。
個人情報管理
外国人・受入れ企業の個人情報を適正に管理する必要があります。
外部監査
監理支援事業を外部から確認する外部監査体制が必要です。

監理支援機関は3か月に1回以上の定期監査を実施

通常の監理型育成就労では、 監理支援機関が育成就労実施者に対し、 3か月に1回以上の定期監査を行います。

また、法令違反や人権侵害等が疑われる場合には、 通常の定期監査とは別に 臨時監査を行う必要があります。

育成就労外国人に対する暴行・脅迫などの人権侵害行為が疑われる場合には、 迅速に臨時監査を行い、 外国人育成就労機構へ報告することが求められます。

就労開始後1年以下の外国人には毎月の訪問指導

育成就労の対象となっている期間が合計1年以下の育成就労外国人については、 監理支援機関は原則として 1か月に1回以上 受入れ企業を訪問し、 育成就労計画どおりに育成就労が行われているかを確認・指導します。

この訪問指導は、 定期監査とは別の制度です。

オンラインだけでは不可
資料を事前に電子的に確認するなどの効率化は可能ですが、 訪問指導そのものをオンラインだけで実施することは認められていません。

育成就労制度では「外部監査人」が重要になります

監理支援機関には、 監理支援事業が適正に行われているかを法人外部から確認する 外部監査人の仕組みが設けられています。

外部監査人は、 監理支援機関や受入れ企業との関係から独立性が確保され、 監査を公正・適正に遂行できる資格や能力を有している必要があります。

行政書士も外部監査人になり得ます

運用要領では、 外部監査人について、 弁護士、社会保険労務士、行政書士その他育成就労の知見を有する者 であることが必要とされています。

資格だけでなく、 所定の養成講習を修了していることや、 監理支援機関・育成就労実施者等との関係について 独立性を満たしていることも必要です。

外部監査人は3か月に1回以上監理支援機関を確認

外部監査人は、 監理支援機関が監理支援事業を行う 各事業所について3か月に1回以上、 監査等の業務の遂行状況を確認します。

確認した結果について書類を作成し、 監理支援機関へ提出します。

年1回以上、受入れ企業への監査にも同行

外部監査人は、 監理支援機関が育成就労実施者へ行う監査について、 監理支援機関の各事業所につき1年に1回以上 同行し、その監査が適正に行われているか確認します。

ここでいう「年1回以上」は、 傘下のすべての受入れ企業へ毎年同行するという意味ではありません。

監理支援機関の各事業所につき、 監理支援機関が行う育成就労実施者への監査へ 年1回以上同行するという仕組みです。

同行監査の間隔にも注意
例えば初回の同行監査を5月10日に実施した場合、 次回の同行監査は翌年5月10日までに行う必要があります。

外部監査人には3年ごとの養成講習が必要

外部監査人、監理支援責任者、 育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談員等については、 所定の養成講習制度があります。

選任後も、 原則として講習修了日から 3年以内 に再度所定の養成講習を受講・修了する必要があります。

なお、経過措置として、 育成就労制度施行前に技能実習制度の監理責任者等講習を受講した者について、 一定の範囲で育成就労制度の講習を受講したものとして取り扱う措置も設けられています。

送出機関についても適正性の確認が必要

監理型育成就労で外国の送出機関から求職申込みの取次ぎを受ける場合には、 送出機関が法令上の要件を満たしていることを確認する必要があります。

監理支援機関は、 送出機関との契約において、 育成就労外国人本人やその家族等から 不当な保証金や違約金等を徴収する契約をしていないことを確認する必要があります。

育成就労外国人の行方不明や途中帰国等を理由として、 監理支援機関と送出機関との間で違約金を設定することも認められていません。

令和8年8月改正で追加・明確化された主な事項

令和8年8月の改正では、 制度開始に向けてより具体的な実務上の取扱いが追加・明確化されています。

入国前結核スクリーニング

対象国から育成就労外国人を受け入れる場合、 在留資格認定証明書交付申請時に 「結核非発病証明書」の提出が必要となる取扱いが明記されました。

送出国の国内法令への注意

外国の送出機関を介さない形で外国人を送り出す場合についても、 送出国の国内法令に違反しないか事前に確認する必要があることが明確化されています。

「企業内転勤2号」との区別

従来の企業単独型技能実習のうち、 外国の事業所の職員を1年以内の研修等で受け入れるものについては、 2027年4月1日以降、 在留資格「企業内転勤2号」により受け入れる制度が設けられます。

3年間で特定技能1号水準を目指す育成就労とは、 制度目的・在留期間が異なります。

業務範囲の整理

技能実習制度の「関連業務」「周辺業務」という概念がなくなることや、 必須業務等の割合について、より具体的な取扱いが整理されています。

技能実習から育成就労への移行では準備が必要

現在技能実習生を受け入れている企業や、 監理団体として技能実習制度に関わっている事業協同組合等は、 単に制度名称を変更するだけではありません。

育成就労制度では、 育成就労計画、日本語教育、本人意向転籍、 受入れ人数枠、育成就労実施者の体制、 監理支援機関の許可、 外部監査人など、 現在の技能実習制度とは異なる制度設計が数多くあります。

特に早めに確認しておきたい事項
  • 自社の業務が育成就労の対象分野・業務区分に該当するか
  • 育成就労責任者・指導員・生活相談員の配置
  • 日本語学習支援体制
  • 宿泊施設・外国人負担費用の見直し
  • 受入れ人数枠
  • 本人意向転籍への対応
  • 監理団体から監理支援機関への移行
  • 外部監査人の確保
  • 外国の送出機関との契約内容
  • 分野別の上乗せ基準

分野ごとの運用要領も確認が必要

今回紹介した「育成就労制度運用要領」は、 制度全体に共通する基本的な運用を定めたものです。

実際には、 分野によって独自の上乗せ基準や審査基準が設定される場合があります。

そのため実際の受入れを検討する場合には、 この全体版だけでなく、 該当する産業分野の「特定の分野に係る育成就労制度運用要領」や分野別運用方針 も併せて確認する必要があります。

まとめ

令和8年8月版の育成就労制度運用要領を見ると、 育成就労制度は現在の技能実習制度から名称だけを変更した制度ではないことが分かります。

原則3年間で特定技能1号水準の人材を育成することを明確な目的とし、 技能評価、日本語教育、外国人の待遇、 本人意向転籍、受入れ人数、 監理支援機関による監査・訪問指導、 外部監査人などについて詳細な制度設計が行われています。

特に技能実習生を現在受け入れている企業や、 監理団体から監理支援機関への移行を予定している事業協同組合等については、 2027年4月1日の制度開始直前になってから準備するのではなく、 運用要領や分野別基準を確認しながら体制整備を進めることが重要になります。

参考・出典

出入国在留管理庁・厚生労働省
「育成就労制度 運用要領(令和8年8月版)」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001467946.pdf

※本ページは公表されている育成就労制度運用要領の内容を一般向けに整理したものです。 実際の申請・受入れに当たっては、最新の法令、運用要領、分野別運用方針、告示、外国人育成就労機構の案内等をご確認ください。

2026.09.15 Tuesday
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