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2026-08-08 09:30:00

温泉旅館・ホテルで外国人を雇用するには?在留資格と特定技能を解説

温泉旅館・ホテルで外国人を雇用するには?在留資格と採用時の注意点を解説

温泉旅館やホテルでは、フロントスタッフ、レストランスタッフ、客室係などの人手不足が深刻になっています。

そのため、外国人スタッフの採用を検討する宿泊施設も増えていますが、

「外国人なら誰でもホテルで働けるのか」
「特定技能では、どの仕事を任せられるのか」
「客室清掃だけを担当してもらうことはできるのか」

など、外国人雇用に関する疑問をお持ちの事業者も多いのではないでしょうか。

外国人を雇用する場合は、本人が持っている在留資格と、実際に担当する仕事内容が一致していなければなりません。

この記事では、温泉旅館・ホテルで外国人を雇用する際に利用される主な在留資格、任せられる業務、受入れ企業の要件、採用時の注意点について、一般の方にも分かりやすく解説します。

※この記事は、2026年8月時点で確認できる制度に基づいて作成しています。

 

温泉旅館・ホテルでも外国人を雇用できる

温泉旅館やホテルでも、外国人を正社員、契約社員、アルバイトなどとして雇用することができます。

ただし、外国人は在留資格によって、日本国内でできる仕事の範囲が決められています。

日本人を採用する場合と同じように雇用契約を結ぶだけでは足りず、採用前に次の点を確認する必要があります。

  • 現在の在留資格
  • 在留期限
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可の有無
  • 担当してもらう仕事内容
  • 勤務時間
  • 雇用形態
  • 学歴や職歴
  • 必要な試験の合格状況

在留資格で認められていない仕事をさせると、外国人本人だけでなく、雇用した旅館・ホテル側も責任を問われる可能性があります。

 

温泉旅館・ホテルで利用される主な在留資格

温泉旅館・ホテルで外国人を雇用する場合、主に次の在留資格が考えられます。

  1. 特定技能「宿泊」
  2. 技術・人文知識・国際業務
  3. 特定活動46号
  4. 永住者・日本人の配偶者等・定住者など
  5. 留学・家族滞在の資格外活動

同じホテルで働く場合でも、在留資格によって任せられる仕事が異なります。

採用したい人の在留資格だけでなく、「どの部署で、どのような仕事を担当してもらうのか」を具体的に整理することが重要です。

 

特定技能「宿泊」とは

特定技能「宿泊」は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、ホテルや旅館で幅広い宿泊サービス業務に従事するための在留資格です。

宿泊分野の特定技能1号外国人は、主に次のような業務に従事できます。

  • フロント業務
  • チェックイン・チェックアウト対応
  • 予約管理
  • 宿泊客への館内案内
  • 観光案内
  • 接客業務
  • 企画・広報
  • ホームページやSNSによる情報発信
  • レストランでの接客
  • 料理や飲物の配膳
  • 宴会場でのサービス
  • 宿泊サービスに関連する業務

宿泊分野の特定技能1号では、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊サービスの提供に関する幅広い業務が対象となっています。

 

特定技能外国人に一つの仕事だけを担当させてもよい?

宿泊分野の特定技能外国人は、原則として、フロント、接客、企画・広報、レストランサービスなどの業務に幅広く従事することが想定されています。

例えば、採用後の仕事内容を「レストランでの配膳だけ」「客室清掃だけ」に限定すると、宿泊分野の特定技能に該当しないと判断される可能性があります。

出入国在留管理庁のQ&Aでも、特定技能外国人は基本的に特定の一業務だけではなく、宿泊サービスに関する業務に幅広く従事する必要があると説明されています。

客室清掃、ベッドメイキング、館内清掃などを一部担当してもらうことは考えられますが、清掃業務だけを主な仕事として雇用する場合は注意が必要です。

業務内容は、雇用契約書や職務内容説明書に具体的に記載しておきましょう。

 

特定技能1号の外国人に必要な条件

宿泊分野の特定技能1号を取得するためには、原則として、次の試験に合格する必要があります。

宿泊分野特定技能1号評価試験

ホテルや旅館で働くために必要な接客、フロント、企画・広報、レストランサービスなどに関する知識や技能を確認する試験です。

日本語試験

原則として、次のいずれかに合格する必要があります。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト
  • 日本語能力試験N4以上

一定の技能実習を良好に修了した外国人については、試験が免除される場合があります。

ただし、N4は在留資格を取得するための最低基準です。

実際に温泉旅館やホテルで接客を担当する場合は、宿泊客からの質問、電話対応、館内説明、料理の説明、緊急時の対応などが必要になります。

採用面接では、試験の合格状況だけでなく、実際の会話能力も確認することが大切です。

 

特定技能1号の在留期間と支援

特定技能1号で在留できる期間は、原則として通算5年までです。

また、特定技能1号外国人を雇用する旅館・ホテルは、外国人が日本で安定して生活し、働くための支援を行わなければなりません。

主な支援内容には、次のようなものがあります。

  • 入国前の事前ガイダンス
  • 空港などへの送迎
  • 住居確保の支援
  • 銀行口座や携帯電話などの契約支援
  • 日本での生活ルールの説明
  • 市区町村での手続きへの同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 外国人からの相談や苦情への対応
  • 日本人との交流機会の提供
  • 定期的な面談

旅館・ホテルが自社で支援を実施することが難しい場合は、1号特定技能外国人支援計画の全部を登録支援機関へ委託することができます。

ただし、登録支援機関へ委託した場合でも、雇用主としての責任がすべてなくなるわけではありません。

 

特定技能2号なら長期雇用も検討できる

宿泊分野は、特定技能2号の対象となっています。

特定技能2号は、宿泊施設で複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどに従事できる、熟練した技能を持つ外国人を対象としています。

特定技能2号では、在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たせば配偶者や子どもを日本へ呼び寄せることも可能です。

将来的に、外国人スタッフを主任、リーダー、マネージャー候補として育成したい旅館・ホテルにとっては、長期雇用につながる制度といえます。

ただし、特定技能2号を取得するためには、技能試験への合格に加え、複数の従業員を指導しながら宿泊サービス業務に従事した実務経験が必要です。

 

特定技能外国人を受け入れられるホテル・旅館の条件

宿泊分野で特定技能外国人を雇用する施設は、一定の条件を満たす必要があります。

主な条件は次のとおりです。

  • 旅館業法上の「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること
  • 風俗営業法上の一定の施設に該当しないこと
  • 外国人に風俗営業法上の「接待」をさせないこと
  • 特定技能外国人と直接雇用契約を結ぶこと
  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 労働関係法令や社会保険関係法令を守っていること
  • 外国人を適切に管理できる体制があること
  • 宿泊分野特定技能協議会に加入すること
  • 1号特定技能外国人に必要な支援を行うこと

宿泊分野の特定技能は、原則として直接雇用です。派遣会社が特定技能外国人を雇用し、ホテルや旅館へ派遣する形態は認められていません。

 

宿泊分野特定技能協議会への加入が必要

特定技能外国人を雇用する旅館・ホテルは、国土交通省が設置する「宿泊分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。

2026年8月現在、在留資格の申請を行う際には、協議会の構成員であることを明らかにする書類の提出が必要です。

協議会への入会申請は、e-Govを利用してオンラインで行います。郵送による申請は受け付けられていません。

入会通知書の発行には時間がかかることがあるため、外国人の採用が決まってから慌てて申請するのではなく、早めに準備しておくことが重要です。

 

「技術・人文知識・国際業務」でホテル勤務はできる?

「技術・人文知識・国際業務」は、大学や専門学校などで学んだ専門知識、または一定の実務経験を生かして働く外国人を対象とした在留資格です。

ホテルや旅館では、主に次のような業務が対象となる可能性があります。

  • 外国人宿泊客への通訳・案内
  • 外国語を使用するフロント業務
  • 海外旅行会社との連絡や営業
  • インバウンド向けの企画
  • 海外向け広報・マーケティング
  • 宿泊プランの企画
  • ホームページやSNSによる海外向け情報発信
  • 経理、人事、総務などの専門業務

「技術・人文知識・国際業務」では、学歴や職歴と仕事内容との関連性が審査されます。

単に「外国語が話せるから」という理由だけで許可されるわけではなく、本人の経歴、担当業務、旅館・ホテル側の事業内容、外国人客の利用状況などを総合的に説明する必要があります。

出入国在留管理庁は、ホテル・旅館で外国人が働く場合の「技術・人文知識・国際業務」の考え方を公表しており、2026年4月にも内容が更新されています。

 

「技術・人文知識・国際業務」で清掃や配膳はできる?

「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な知識や外国人特有の感性を必要とする業務を対象としています。

そのため、次の仕事だけを主な業務として担当させることは、原則として適切ではありません。

  • 客室清掃
  • ベッドメイキング
  • 館内清掃
  • 食器洗い
  • 荷物運搬
  • 単純な配膳
  • 駐車場整理

フロントや外国人客への通訳を主な業務とする外国人が、繁忙時に一時的・付随的に配膳や清掃を手伝うことはあり得ます。

ただし、実際には勤務時間の大部分を清掃や配膳に充てている場合、在留資格に該当しない活動と判断される可能性があります。

申請時に提出した仕事内容と、採用後の実際の仕事内容を一致させることが重要です。

 

特定活動46号で雇用する方法

日本の大学などを卒業し、高い日本語能力を持つ外国人については、「特定活動46号」で雇用できる場合があります。

原則として、次のような条件が求められます。

  • 日本の大学を卒業していること
  • 日本語能力試験N1に合格していること、またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を取得していること
  • 日本語を使った円滑な意思疎通を必要とする仕事であること
  • フルタイムで雇用されること
  • 日本人と同等以上の報酬を受けること

特定活動46号は、「技術・人文知識・国際業務」よりも幅広い接客業務を担当できる可能性があります。

例えば、外国人客と日本人客の両方に対応するフロント業務、館内案内、接客、レストランサービスなどを組み合わせて担当してもらうことが考えられます。

ただし、客室清掃だけなど、日本語を使ったコミュニケーションをほとんど必要としない仕事に限定することはできません。

 

永住者や日本人の配偶者等は幅広い仕事ができる

次のような在留資格を持つ外国人は、一般的に就労活動の内容に大きな制限がありません。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

これらの在留資格を持つ外国人は、フロント、接客、配膳、清掃、調理補助など、幅広い業務に従事できます。

ただし、在留期限がある場合には、在留カードの有効期限を確認する必要があります。

また、「日本人の配偶者等」などの在留資格は、離婚や死別などによって在留状況が変わる可能性があるため、定期的な確認も必要です。

 

留学生や家族滞在の外国人をアルバイト採用する場合

「留学」や「家族滞在」の在留資格だけでは、原則として働くことができません。

アルバイトとして雇用する場合は、在留カードなどで「資格外活動許可」を受けていることを確認する必要があります。

包括的な資格外活動許可を受けている場合は、原則として1週間に28時間以内で働くことができます。

留学生については、学校が定める長期休業期間中に限り、1日8時間以内の就労が認められます。

複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、勤務時間はすべての勤務先を合計して計算します。

自社での勤務時間だけが週28時間以内であっても、他社での勤務時間と合計して上限を超えれば違反になるため、採用時と採用後の確認が必要です。

 

温泉旅館・ホテルが外国人を雇用する流れ

1.担当してもらう仕事を決める

最初に、外国人へ任せる予定の仕事内容を具体的に整理します。

「旅館業務全般」などの曖昧な表現ではなく、フロント、予約管理、接客、配膳、企画、外国語対応など、実際の業務を明確にします。

 

2.適切な在留資格を確認する

仕事内容に応じて、特定技能、技術・人文知識・国際業務、特定活動46号など、どの在留資格が適切かを確認します。

すでに日本に住んでいる外国人を採用する場合は、在留カードの原本を確認しましょう。

 

3.外国人本人の要件を確認する

学歴、職歴、日本語能力、技能試験の合格状況などを確認します。

特定技能の場合は、技能試験や日本語試験の合格証明書なども確認します。

 

4.旅館・ホテル側の要件を確認する

営業許可、協議会への加入、社会保険の加入状況、納税状況、支援体制などを確認します。

 

5.雇用契約を締結する

給与、勤務時間、休日、仕事内容、勤務地などを記載した雇用契約書や労働条件通知書を作成します。

外国人が十分に理解できる言語で、労働条件を説明することも重要です。

 

6.在留資格の申請を行う

海外から外国人を呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。

日本にいる留学生などを採用する場合は、在留資格変更許可申請を行います。

すでに就労可能な在留資格を持っている場合でも、転職後の業務内容が現在の在留資格に該当するか確認する必要があります。

 

7.入社後の受入れ体制を整える

入社後は、業務マニュアル、多言語での説明、相談担当者、住居、生活支援などの体制を整えます。

外国人スタッフだけに対応を任せるのではなく、日本人スタッフにも制度や文化の違いを説明しておくことが、長期的な定着につながります。

 

外国人雇用で注意したいポイント

在留カードのコピーだけで判断しない

在留カードの表面だけでなく、裏面の資格外活動許可欄も確認します。

偽造や有効期限切れを防ぐため、必ず原本を確認しましょう。

 

仕事内容を「旅館業務全般」にしない

外国人の在留資格申請では、実際の仕事内容が重要です。

フロント、外国語対応、予約管理、接客、企画など、具体的な業務内容を整理してください。

 

日本語試験の結果だけで判断しない

接客業では、会話能力、聞き取り能力、敬語、緊急時の対応などが必要になります。

採用面接では、実際の接客場面を想定した会話を行うことが効果的です。

 

日本人と不合理な待遇差を設けない

外国人であることだけを理由に、給与を低くしたり、昇給の対象外にしたりすることは適切ではありません。

特定技能外国人には、同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。

 

住居と交通手段も検討する

温泉旅館は、駅や市街地から離れた場所にあることも少なくありません。

寮の確保、通勤手段、買物、病院、銀行、市役所への移動など、生活面も含めて受入れ体制を整えることが大切です。

 

よくある質問

Q.特定技能外国人を客室清掃だけで雇用できますか?

宿泊分野の特定技能では、フロント、接客、企画・広報、レストランサービスなどの宿泊サービス業務に幅広く従事することが基本です。

客室清掃だけを主な業務とする雇用は、宿泊分野の特定技能に該当しない可能性があります。

 

Q.特定技能外国人を派遣会社から受け入れられますか?

宿泊分野の特定技能は、原則として直接雇用です。

派遣会社に雇用された特定技能外国人を、旅館やホテルへ派遣することは認められていません。

 

Q.ホテルのレストランだけで働いてもらえますか?

宿泊分野の特定技能は、原則として、宿泊サービスに関する複数の業務に従事することが想定されています。

レストランサービスだけを担当させる場合は、仕事内容や施設の事業内容によって、宿泊分野と外食業分野のどちらに該当するかを慎重に確認する必要があります。

 

Q.フロント業務なら技術・人文知識・国際業務を取得できますか?

フロント業務という名称だけで許可されるわけではありません。

外国語対応、海外向け企画、通訳、マーケティングなどの専門的な業務内容と、本人の学歴・職歴との関連性が審査されます。

 

Q.外国人を採用してから在留資格を申請してもよいですか?

雇用契約を締結した後に在留資格の申請を行うことはありますが、許可が出る前に働き始めることはできません。

申請中であることだけでは、就労は認められないため注意が必要です。

 

まとめ

温泉旅館・ホテルでは、特定技能「宿泊」、技術・人文知識・国際業務、特定活動46号など、さまざまな在留資格を活用して外国人を雇用できます。

ただし、在留資格によって任せられる仕事内容は異なります。

特に注意したいのは、次の点です。

  • 特定技能「宿泊」は幅広い宿泊サービス業務が対象
  • 客室清掃だけなど、一つの業務への限定には注意が必要
  • 宿泊分野の特定技能は直接雇用が原則
  • 特定技能の受入れには協議会への加入が必要
  • 特定技能1号では生活・就労支援が必要
  • 技術・人文知識・国際業務では学歴や職歴との関連性が重要
  • 留学生や家族滞在のアルバイトには資格外活動許可が必要
  • 採用前に在留カードと実際の仕事内容を確認する

外国人雇用では、「どの在留資格を申請するか」だけでなく、採用後に実際に担当してもらう仕事内容を適切に設計することが重要です。

外国人スタッフの採用を検討している温泉旅館・ホテルは、求人を開始する前に、施設側の受入れ要件と外国人本人の在留資格を確認し、余裕を持って準備を進めましょう。

当事務所では、温泉旅館・ホテルにおける外国人雇用について、在留資格の選定、必要書類の確認、特定技能外国人の受入れ、在留資格申請などをサポートしています。

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2026.08.08 Saturday